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AV業界とはいかなる業界なのか(上)

AVを隠した撮影などを禁じ健全化をめざす業界自主ルールが4月から実施

河合幹雄 桐蔭横浜大学法学部教授(法社会学)

 「AV出演強要」と名付けられた問題と、それについての対応は、他稿で詳しく述べた(現代ビジネス)ので本稿では最小限にとどめ、これまで謎に包まれてきたAV業界について、いかなる業界なのか、さらに、その健全化とはなにか、方向性を考察しておきたい。

警視庁が開いた「アダルトビデオ出演強要問題事件説明会」=2018年2月1日、東京都千代田区内神田1丁目警視庁が開いた「アダルトビデオ出演強要問題事件説明会」=2018年2月1日、東京都千代田区内神田1丁目
 今回の経緯を簡単に振り返れば、人権団体、内閣府男女共同参画、マスコミ報道、警察の検挙の嵐にあって、AV業界のうち、合法に営業続けたい人々の中から、メーカーと販売・配信・レンタル企業からなる「IPPA」、プロダクションの連合「JPG」、女優の「AVAN」が結束し、AV業界改革推進有識者委員会が2017年4月に創設された。

  委員会は、撮影に関して適切になされたという意味での適正AVという枠組みをつくるという基本方針を提示した。私は、その4人の委員のひとりである。この委員会は、10月にAV人権倫理機構として再発足し、業界自主規制ルールを具体化し、2018年4月から完全実施という運びである。

  その中身は、統一契約書の使用により、AVであることを隠した勧誘の禁止、AVに出演することのリスクの丁寧な説明、AV女優が最後の瞬間まで出演辞退できるように、

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