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中学受験の異変、渋谷学園渋谷が桜蔭に並ぶ(上)

“手厚い共学”人気の加速と、ブランド力の女子御三家の今後は

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 入学式の季節で、新中学生たちが真新しい制服を着、期待に胸を膨らませ、学校の門を通るだろう。この欄では女子教育を考えるために、中学受験のトレンドについて書いてきた。この中学受験で首都圏では今年大きな変化があった。

 日能研の入試難関度を調査するR4で、2018年度の結果偏差値が発表された。2月1日分で、女子の最難関、桜蔭学園と共学進学校、渋谷学園渋谷が67で並んだのだ。予想では桜蔭が68、渋谷学園は67と桜蔭の方が上だった。これは女子教育を考えるうえで、とても興味深い出来事だ。今回は中学受験の女子の最難関、桜蔭と渋谷学園渋谷について書いていきたい。

「真由子ショック」で桜蔭の難易度が下がるという噂が

  桜蔭学園は言わずと知れた最難関の私立中高一貫女子校だ。去年はこの桜蔭出身者たちがメディアで注目された。桜蔭出身者で最も知名度が高いのは、タレントの菊川怜だろう。彼女は去年結婚したが、その相手に何人もの婚外子のいることが週刊誌で取り上げられた。

  もうひとり、注目された桜蔭出身者がいる。「ハゲーッ」と秘書を叱る音声データが公開された豊田真由子元衆議院議員だ。あの騒動と同時に、彼女の桜蔭の同級生がネットに元議員との思い出を手記として発表し、その内容は、まるで桐野夏生の『グロテスク』(文藝春秋)のようだと揶揄された。『グロテスク』は桐野夏生が東電OL殺人事件をモチーフにした傑作小説だ。

  勉強ができるね、頭がいいねと褒められたい。それと同時に男から欲されて愛されたい。強い承認欲求と上昇志向がゆえに崩壊していく女性像を描いた作品で、日本の文学史に残るだろう名作だ。その『グロテスク』の世界をそのままリアルで展開していったのが、あの「ハゲーッ」騒動の後にでた手記だった。

  あの騒動の後、中学受験生の保護者の間で「真由子ショックで来年は難関度が下がる」という噂が流れたと中学受験塾の講師たちから聞いた。しかし、彼らとの会話の中で「それはないね」という推測で一致した。なぜなら、桜蔭を受験する層は日本でも学力が最も高い女子たちであり、彼女たちも保護者もメディアの情報に左右されないだろうと考えたからだ。ところが結果的に桜蔭の難易度は下がり、渋谷学園渋谷と並ぶ形になった。

女の子としての幸せとお勉強

  しかし、桜蔭の難易度が下がり、「唯一絶対の女子最難関校」ではなくなったのは、豊田真由子元議員騒動とは関係ないだろう。去年、桜蔭は補欠合格者を例年よりも多く出して、 ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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