契約危機と開幕直前のけがから蘇ったイチロー
リリーフ投手増で減る外野手枠、5年ぶり開幕先発の44歳は選手生命を賭ける
出村義和 ジャーナリスト
過去に例をみない歴史的デビュー。打てば打ったで、投げれば投げたで野球王ベーブ・ルースが引き合いに出される大活躍。大谷翔平の鮮やかな二刀流は本場アメリカでも連日ビッグニュースになっている。まだ、メジャーでのキャリアは始まったばかり。一体、これから先、どんなドラマを演じ、歴史を作っていくのか。

マーリンズ時代にイチローは右越え三塁打で史上30人目の大リーグ3000通算安打を達成=2016年8月7日、米コロラド州デンバー
17年前のイチローも同じように衝撃的であり、みる者の期待を無限に膨らませるような存在だった。日本人野手のメジャーリーガー第1号。オープン戦の不振から、メジャーでの活躍を危惧された。
ところが、フタを開ければ、デビュー戦で初安打を打ち、数日後には強肩を披露して全米のニュースになり、そしてマシーンのようにヒットを量産。一番打者としてマリナーズの地区優勝に大きく貢献。新人記録となるシーズン242安打を放ち、首位打者を獲得。史上2人目の新人王とMVPを同時受賞した。
現実離れした活躍ぶりは、いま大谷に対してさかんに使われている『アニメ』ではなく、当時は『劇画』のようだと形容されたものだ。
若返りの波のなかで未契約が相次いだベテラン選手
そのイチローが選手生命を賭けたシーズンを戦っている。メジャー野手で最年長の44歳。
このオフはメジャーでの選手生活の継続が脅かされ、古巣マリナーズとの契約もスプリングトレーニングが半ばに差し掛かろうかという3月7日のことだった。
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