W杯開幕まで2カ月で西野朗新監督の就任を日本サッカー協会が決断
2018年04月12日
「(解任の理由は)選手たちとのコミュニケーションや信頼関係が薄れていた。もちろん、それだけではなくほかの要因も総合的に判断した結果です」と話し、伝えられた前監督が「まさかこれを言われるとは、といった動揺や怒り、どうしてなんだ?と聞かれたのも事実です」と、取り乱した様子も伝えた。
解任を決定付けてしまったのは、3月に行われたベルギー遠征(リエージュ)でのアフリカのマリ戦(1-1)と、ウクライナ戦(1―2)の結果だと説明。ともに、W杯出場を逃した国だったが、日本代表は戦術もバラバラで、何より求められるはずのメンタルでも全く精彩を欠き、これが代表戦かと思うほどの凡戦となり、直後、選手側からも会長、協会への意見が集まったという。
昨年8月31日、6大会連続となるW杯出場を決めたアジア最終予選オーストラリア戦(2-0、埼玉スタジアム)以後、同最終戦のサウジアラビア戦に敗れ、親善試合のハイチには引き分け、12月のE1(東アジア)選手権では韓国に1-4と惨敗を喫するなど、突破後の公式戦、親善試合を含め10戦中わずかに3勝で、しかも戦術面でも選手との「乖離」は広がる一方、止まらない下り坂に突入したのは明らかだった。
この事態に会長は「何もせずにこのままW杯で負けるのは(会長として)できなかった。1%でも2%でも勝つ確率を上げたい」と、1998年のフランス大会で初出場を果たした日本のW杯史上初めて、出場が決定して後に監督を交代するギャンブルを選択。
98年以降、ここまで8人の代表監督と契約し、98年以降の途中交代はオシム氏の病気とアギーレ氏の賭博による捜査での解除の2件のみ。アジア最終予選の最中に加茂周監督を解任して以来、日本協会内には「契約を全うするよう双方が努力する」といった暗黙の了解、コンプライアンスが存在しただけに、開催2カ月前の決定は日本協会のスタイルとは違い、世界的にも注目を浴びた。
残り2カ月を切っての最悪のタイミング、遅きに失す、といった論評は容易いだが、「契約を全うする」努力をどの国より重んじた協会にとって、契約解除の理由、契約書との整合性、また今後、前監督がどういった措置に出るかなど、FIFA(国際サッカー連盟)、CAS(スポーツ仲裁裁判所)への水面下での調査を慎重に行う必要性があった点は見逃せない。
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