菘あつこ(すずな・あつこ) フリージャーナリスト
立命館大学産業社会学部卒業。朝日新聞(大阪本社版)、神戸新聞、バレエ専門誌「SWAN MAGAZINE」などに舞踊評やバレエ・ダンス関連記事を中心に執筆、雑誌に社会・文化に関する記事を掲載。文化庁の各事業(芸術祭・アートマネジメント重点支援事業・国際芸術交流支援事業など)、兵庫県芸術奨励賞、芦屋市文化振興審議会等行政の各委員や講師も歴任。著書に『ココロとカラダに効くバレエ』。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
夜遅くまでの営業で長時間勤務、多くはない収入、競争激化で経費は節減
子供の頃、運動音痴で体育の授業が大嫌いだった私が、スポーツの楽しさや心地よさを知ることができたのは、民間のスポーツクラブのおかげだ。
学校の体育のように寒いところや暑いところで着替えるわけでもなく、教師のなかでもひときわ怖い体育の先生に怒鳴られるわけでもない。きれいで快適な施設、自分の選んだ楽しいプログラムで身体を動かし、汗をかいたら広いお風呂やシャワーでさっぱり。社会に出てから、運動不足が気になって入会したスポーツクラブで、私はどんどんその楽しさにのめり込み、トライアスロンに夢中になっていった。
トライアスロンをする人=トライアスリートには、学校の体育の先生などスポーツに関わる仕事をする人も多い。スポーツクラブで働く人ももちろんいて、レースに出場するなか、そんな友人が増えていった。そうしたなかで、自分が会員としてお世話になったいくつかのクラブや友人が働くクラブなど、いろんなスポーツクラブを見て、最近、どうも気になっているのは「スポーツクラブというのは、労働環境がとても厳しい」ということだ。
大手から中小まで、大きさも経営の仕方もさまざまだから、抱える問題はそれぞれ違うだろう。もしかすると、問題のないところもあるのかも知れない。けれど、ほとんどは「この仕事が好きだからなんとか頑張れる」というところが多いように見える。
今後、高齢者がどんどん増える中で、いくつになっても生活習慣病で寝込むことなく、膝痛や腰痛などの整形外科的な問題で歩けなくなるなどということもないように、それらの予防に、民間のスポーツクラブは大きな役割を担う存在だと思う。けれど、それを支える働くスタッフが、そのための知識を蓄積してステップアップしながら一般的な定年まで働き続けられるところは、どのくらいあるのだろう?
スポーツクラブの営業時間は、一般的に結構長い。24時間というところは少ないにしても、朝の9時頃から夜22時か23時くらいまで営業しているのが普通。これは、一般的な物販店舗や飲食店より長いだろう。スタッフは、その前後2時間程度は働く必要があり、大抵はシフト制勤務となる。そんななか、社員となると長時間勤務が続かざるを得ないことが多い(逆にクラブによっては、社員は労働基準法に従い、アルバイトなどにしわ寄せがいっているようなところもあるようだが……)。
しかも身体を動かしてこその仕事がほとんどだから、座っての業務は少ない。もともと体力に自信がある人が多いからか、ハードな長時間勤務も倒れずこなす
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