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売り手市場で東大文系だけが就職不振?(下)

「企業が求めるのは学歴よりもコミュニケーション能力だから」は的外れ

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 新卒者の就職内定率が9割を超える昨今、東大の文系学部の学生の半分は就職できないという事実について書いている。前回は東大の公式サイトに掲載される具体的なデータを示した。後半では、なぜ、東大生は就職できないのかについて考えていきたい。

「学歴よりもコミュニケーション能力」説は本当か?

東大教養学部の正門=1998年、東京都目黒区拡大東大教養学部の正門=1998年、東京都目黒区
 なぜ、東大文系学部の学生の就職率は低いのか。このテーマに関するネットニュース報道をみていると、「企業が求めるのが学歴よりコミュニケーション能力だから」という分析もあるが、それは的外れのように思える。

 コミュニケーション能力で差が出るならば、理系よりも文系は就職が好調なはずだ。しかし、実際は東大の理系は就職好調だ。大学院も文系は定員割れしているが、理系は全国の学部を卒業した優秀な学生たちが集まってくる。東大の理系の院に進めば、就職の選択肢が広がるからだ。

 理系文系の違いだけではない。同じ文系でも他の難関大学は半分が就職できないということはない。たとえば、一橋大学は社会科学系統の学部のみの“文系大学”だが、就職は好調である。2016年度卒業者は970人で就職者850人、進学者81人、進学も就職もしない「その他」は39人。

 関西の難関大学、京都大学も2016年度の卒業者2963人中、進学が1730人、就職が945人、「その他」187人。進学者が多いのは工学部と理学部の人数が多いからだ。 ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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