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W杯出場へ見せた、なでしこの腹くくった戦い方

アジア予選を突破し8大会連続のワールドカップ 勝負にこだわるスイッチが入る

増島みどり スポーツライター

 2019年フランスW杯の予選を兼ねたアジア選手権(ヨルダン・アンマン)で、日本女子代表「なでしこジャパン」がB組2位(豪州1位)となり、W杯8大会連続8回目の出場を決めた。

 初戦のベトナムに勝利し、勝てば出場を決められる2試合目の韓国戦はスコアレスドローに。アジア女子では最上位の6位と強豪の豪州に勝利か、1-1以上の引き分けで出場が決まる第3戦(13日)、前半は0-0と耐え、後半18分、長谷川と阪口の連携で奪った1点を(41分に同点とされる)最後まで守り切った。

 16年のリオ五輪アジア最終予選に敗れて以来、親善試合や海外遠征は行っても、真剣勝負の場を遠ざかるを得なかったなでしこが、久々に「勝負」にこだわるスイッチがオンとなったゲームとなったのではないか。

 先ず、戦い方を変貌させた。

 出場権をかけた豪州戦では、ボールをつなぐポゼッションサッカーではなく、陣営を下げ守備から、さらにボールをなりふりかまわず蹴ってでも耐え忍ぶ戦法を選択。豪州は後半の失点が多く、こうしたスカウティングからも、後半になって疲労で足が止まる時間帯を辛抱強く待てた前半は、なでしこがかつて誇った「勝負スイッチ」がまださびついていなかったからだろう。逆につないで来ない「なでしこ」に豪州は少し戸惑いを見せたようだった。

 高倉麻子監督(49)は「前半は特に相手に攻め込まれて守る時間が長かったが、よく耐えてくれた。同点にはされましたが、後半ゴールを奪うプラン通り戦えた。もちろん課題はいくつもあるが、やらなくてはいけないことを、やるべき試合で貫けたのは選手の力」と、リオで国際舞台を降りて以来となる、W杯の復帰を喜んだ。

 豪州のエースFW・カーに終了間際41分にゴールを奪われ同点とされた後も、監督は阪口をベンチに呼び寄せ、試合の終わらせ方を確認。この時点でグループ2位での出場権は獲得できる。1位か2位、通過順位ではなく現実的な選択から、ホイッスルが鳴るまで6分間、ハーフライン付近、低い位置でボールを回して試合を終わらせた。

 監督は「攻めなくていい、と指示した」と2位通過で割りきった姿勢を会見で明かした。こうした指示がチームに浸透した点も、親善試合や海外遠征だけで過ごした約2年の成果のひとつで、鈍ったカンがチーム全体として戻った印象だ。

 ラインを下げたが、中盤でのこぼれ球はほとんど日本が拾い、相手に体を詰めず足だけでボールを奪おうとする軽い守備も全く見せなかった。

ハリルホジッチ監督解任は、女子にもカンフル剤に

 9日、日本サッカー協会(JFA)田嶋幸三会長(60)が緊急会見を開いて、ロシアW杯まで2カ月に迫っていたハリルホジッチ監督の契約解除を発表した。チーム関係者によると、このニュースが伝えられた後、奇しくもチームの雰囲気に少し緊張感が生まれたのだという。 ・・・ログインして読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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