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「胸を触らせろ」は特に言ってはならない言葉

セックスを迫られるよりも「触らせろ」が女性にとって辛くて耐えられない理由は

杉浦由美子 ノンフィクションライター

財務省を出る福田淳一事務次官(中央)=2018年4月16日、東京・霞が関拡大財務省を出る福田淳一事務次官(中央)=2018年4月16日、東京・霞が関
 18日に辞任を発表した財務省の福田淳一事務次官が、飲み会の席で女性記者に「胸触っていい?」等々のセクハラ発言をしていたことが、『週刊新潮』(2018年4月19日)で報じられた。福田氏は否定している。

 他の報道とは違う視点でこの報道を考えてみたい。

 この報道を見て、私は一記者として「やっぱり、そうなのか」と膝を打ったことがあった。

 すべてのセクハラ発言はしてはいけない。しかし、その中でも「胸触っていい?」と言われるのは、女性にとって特に耐えがたいことなのだ。

 私は社会人女性たちから、しばしば、セクハラ被害の経験を聞く。その中で、私が気になっていたのは、酒の席でのセクハラで、女性が堪忍袋の緒が切れるきっかけだ。

 酒などの席で「やらせろ」(セックスをさせろ)と言われる分には無視していたり、我慢していたりする女性が、「胸を触らせて」と言われた瞬間、ブチッとキレてしまうという話をよく聞く。

 セックスを迫られるよりも、胸を触らせろと言われる方が要求としては軽いように思う。しかし、身の危険の感じ方は後者が上なのだ。それはなぜなのだろうか。

 以前、雑誌の記事を書くためにセクハラについて取材した経験がある一記者の視点で考えてみたい。

無視できることと、できないこと

 深夜のバラエティ番組で、変態キャラで売っている男性芸人が共演者の女性タレントに「やらせろ!」と言ったとしよう。それは言われた女性もギャグとして流せる。なぜなら、収録の最中に性行為は出来ないからだ。 ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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