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溺れるアベノミクスは放送法4条をもつかむのか

産業振興担当官庁は勉強不足、もっと重要な政策議論があるはず

倉沢鉄也 日鉄住金総研研究主幹

 放送法4条という条文を規制と捉え、これを撤廃して改革する必要があると安倍首相が今年に入って繰り返し言うので、官邸主導の会議体である規制改革推進会議にて具体的に検討するかもしれないという話題が、法律を所管する総務省をはじめ関係各方面から賛否の声があがった。

 結局、4月16日の同会議で配布された資料には、放送法4条撤廃の可能性について何も記載されていなかった、20年来いや30年来の決まり文句だった「通信と放送の融合ビジネスモデル」「コンテンツビジネスの競争とグローバル展開」「必要な無線電波有効活用」などと記されただけ、というのが一連の報道による事実のようだ。

放送法4条は参入障壁にはならない

 多くの法律では「ひとけた」条文にはその法律が取り扱う世界観の原則論が書かれている。放送法4条とは「公序良俗/政治的公平/事実報道/多面的論点/視聴覚等のバリアフリー、で番組編集してください」という罰則のない規定であり、それは法律の玄人でなくても、第1条(憲法にあるとおり、表現の自由にのっとりつつ、公共の福祉に資する放送をしましょう)、第3条(放送法で特記する以外は自由に表現してください)を受けて書かれている条文である。

 もともと放送とは双方向通信から「上り(戻し)」の回線を省くことで安価簡便に一斉同報できるようにしたテレビ受像機という技術からスタートしたもので、だから社会的な影響力が強いので、放送する人はちゃんとやってね、ということで、第4条は特別に難しいことは言っておらず、逆にこの約束をちゃんと守れていないと国民(主権者)が思うなら叱られても仕方ないですね、という程度の条文に過ぎない。

 法規制の改変・撤廃に反対すると、何か一律に守旧派で抵抗勢力で利権持ちだという直線的な思考の話になりがちだが、今回の反対意見と扱われている当事者たちの物言いは、政治介入に対するアレルギー反応的な意見も含めて比較的冷静に見える。

 放送免許の所管者なので最小限のチェックはする責任があると思うという立ち位置の総務省、個別番組の実態はともかく通信メディアの各コンテンツよりは公序良俗に沿ってコンテンツを発信した自負のある放送業界、その資本家たる新聞業界、も「お約束」とはいえとりあえず一度はもの言わねばならない点は、同情せざるを得ない。要するに、「ばかばかしい」というメッセージだ。 ・・・ログインして読む
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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄住金総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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