正社員と非正社員の差だけでなく給与体系が複雑な日本社会
2018年05月07日
そんななかで中小規模ではなく、手当の充実した日本郵政グループの今回の判断は、喜ぶべきことではないにせよ、限られた人件費であったとしたなら(本当なら、他の経費を削って人件費を一番大切にして欲しいけれど)どう配分するかを考えた末の一つの新しい結論といえるのだろう。
私は、労働問題の専門家ではないので、単に一労働者として、このニュースに触れたい。
とても個人的な話になってしまい恐縮だが、私は、大学を卒業して正社員として勤めた中規模の会社を4年弱で結婚退職した。専業主婦になるつもりはなかったのだが、仕事関係の人と結婚したので、転職して、また別のフィールドで仕事をした方が良いのではと当時考えたのだ。その後、離婚など、生活状況の変化もあるなかで仕事をしてきたが、主に非正規の職員として働くことになった。そんな個人的な経験から感じたことを綴ってみたい。
そもそも、その最初に新卒で就いた仕事にしても、“同一労働、同一賃金”ではなかったと思う。鉄道会社系列の広告会社で、社長はじめ、中堅管理職クラスぐらいまで親会社である鉄道会社からの出向があった。知り得る限り、同じ役職の自社採用社員よりも親会社からの出向者の方が収入が高かったのではないだろうか? 親会社からの出向者は、広い視野を持った素晴らしい方向性を示す方もいらっしゃった一方、当面の業務に不慣れで、なかには興味を示そうとしない……方も。そういう状況は、きっと日本の企業では“普通のこと”なのだろう。
新卒で勤めた会社を辞めた後、私はいくつかの会社に就職するが、正社員ではなく契約社員という採用のされ方になっていく。バブルもはじけ、新卒も仕事が見つからない時代に入っていたから当然と言えば当然だ。採用されただけで有り難いこと。
複数の企業で契約社員として働いた。そこで、正社員と契約社員の違いに愕然とする。“アルバイト”や“パート”は時間が限られていたり、仕事内容が社員と違って軽いものになっていることが多いが、“契約社員”は、正社員と同様に担当業務が割り振られることが多い。だが、企業規模が大きいほど、その収入の差は大きい。
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