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月9『コンフィデンスマンJP』はなぜ微妙(下)

スター女優ほどイメチェンは難しい 敏腕マネージャー不在が招いたミスキャストか

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 ドラマ不況といわれながらも、今クールも『特捜9』『未解決の女』(テレビ朝日系)、『正義のセ』(日本テレビ系)『ブラックペアン』(TBS系)は平均視聴率二桁代をキープしている。『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)も初回視聴率は10.6%と二桁だった。テレビ離れが言われる中で、どの局も善戦をしているといえよう。

 しかし、フジテレビはこの春のドラマで視聴率二桁を出していない。その中でも苦戦ぶりが注目されるのは、月9の『コンフィデンスマンJP』だろう。フジテレビが全力で取り組んだドラマだからだ。

 主演は長澤まさみ、脚本は『リーガル・ハイ』の古沢良太。初回放送分は大掛かりなセットに、大人数のわき役たち。昨今のドラマでは見ないほどの制作費をかけていた。また、長澤まさみはトップクラスの女優なので出演料も高い。これほどお金をかけたのに、視聴率は初回が9.4%で、その後が7.7%、9.1%、9.2%と推移し、一度も二桁に届いていない。

 前回は脚本の質の点から、『コンフィデンスマンJP』になにが足りないかを考えたが、今回はキャスティングの点での残念な部分を見てみよう。

スターほどイメージチェンジは難しい

 以前、木村拓哉がイメージチェンジに苦戦しているという記事を書いた。『BG―身辺警護人―』(テレビ朝日系)では、冴えない中年男が仕事を通して復活していく物語に挑戦した。

 しかし、画面の中の木村は相変わらずのかっこよさで、弱さを表現できていない。『BG』が視聴率好調だったことから、今後も従来通りの「強い二枚目ヒーロー」のオファーが殺到するだろうから、イメージチェンジはさらに難しくなったように思える。

 長澤まさみは恋愛ドラマのヒロイン役としてスターにのぼりつめた女優だ。2007年に月9枠で放送された『プロポーズ大作戦』は最終回の視聴率が20.9%を記録した。

 男性主人公が恋をする相手として説得力がある美貌と色気、そして清純さ。これが長澤まさみの魅力だ。しかし、永遠に恋愛ドラマのマドンナ役を演じ続けることはできない。30歳を過ぎたら役に幅が欲しくなる。長澤にとって、『コンフィデンスマンJP』の女詐欺師はイメージチェンジのための挑戦だったようにも見える。

 結果的に冒険しすぎたというような印象を受けるのは私だけだろうか。いかんせん、役の設定と長澤が一致してないように思える。初回放送分で、長澤演じる女詐欺師ダー子が身体を使って相手を騙そうとすると、仲間に「お前はハニートラップが下手だから止めろ」と言われる。

 これは新垣結衣だったら成立するだろう。新垣は華やかなのに色気がない。ゆえに ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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