杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター
1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
天才が出にくい現在、女優も才能よりも努力をした人間が活躍できるようになってきた
「天才が出てきにくい時代」と言われて久しい。これはなにを意味するかといえば、ようは、天賦の能力だけでは活躍し続けるのは難しいということだ。なにをするにしてもハウツーが進化しているので、いかに勉強してそれを身につけるかで勝負が決まる。
地方出身の神童が東大に入って驚くのは、「東京の中高一貫校出身者たちの地頭の悪さ」だという。地方の神童は天性の頭の良さで東大に入ってくるが、都会の秀才は小学校時代から塾に通い詰め、ハウツーを取得し、努力して東大に入ってくる。そして、神童たちは子どもの頃からガリ勉をしてきた秀才たちに敗北感を持つことも多いという。
天才よりも努力の人の時代。この流れはテレビの中で活躍する俳優や女優にも見られる。
俳優の野村宏伸(53)は、その美貌ゆえにスクリーンデビューし、1980年代後半から90年代前半にかけて売れっ子俳優として活躍、一時期は年収が1億円を超えた。しかし、その後、徐々に主演級のオファーがこなくなり、脇役も積極的に引き受けるようになるが、2000年代後半になると舞台出身の実力派俳優たちがテレビに進出し、彼らが野村から仕事を奪ってしまう。
劇団や舞台で演技を基礎から学び、場数を踏んできた俳優たちに、天才野村宏伸はかなわなかったのだ。才能に努力が勝った例といえよう。
この流れが今、女優にも来ているように思う。今クールのドラマ『未解決の女』(テレビ朝日系)で主演の波瑠(26)、『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日本テレビ系)で主演の菜々緒(29)、そして、前クールの『99.9~刑事専門弁護士~SEASONⅡ』(TBS系)でヒロイン役を演じた木村文乃(30)は努力の人たちだ。
論座ではこんな記事も人気です。もう読みましたか?