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日大アメフト部前監督とコーチの矛盾に満ちた発言

競技、対戦相手、学生へのリスペクトに欠ける悪質タックル問題への日大の対応

増島みどり スポーツライター

日大の選手が関学大のクオーターバックに背後からタックル=2018年5月6日、東京都調布市(関学大提供の動画から切り出し、一部加工)拡大日大の選手が関学大のクオーターバックに背後からタックル=2018年5月6日、東京都調布市(関学大提供の動画から切り出し、一部加工)
 日大アメリカンフットボール部のDL(ディフェンスライン)宮川泰介選手(20)が、6日に行われた関西学院大との第51回定期戦(アミノバイタルフィールド)で悪質な反則で関学QBを負傷させた件について23日、日大は遅すぎる記者会見を、突如、しかも午後8時から開いた。

 会見中、内田正人・前監督(62)と、井上奨(つとむ)コーチ(30)の独特の語り口は、「指導とは何か」「指導者とはどういう人物でなければいけないのか」といった、今回の問題の本質を浮き彫りにしていたようにうかがえた。

 もっとも重要な、最初の反則プレーについて内田氏は「残念ながら、観ていないというのが正直なところでして……」と答え、それ以外、約2時間にも及んだ会見中、「正直申しまして……」「率直に言って」と、わざわざ「正直」「率直」といった単語を連発した。井上コーチも、「正直、覚えていない」といった文脈を繰り返す。

 残念ながら観ていなかったのが正直なところ、のプレーのはずが、試合直後の記者の囲みでは「あれぐらいやらないと勝てない。やらせているのは私の責任」(日刊スポーツの取材から)と返しており、あれぐらい、とは記者が悪質なファールと、宮川選手が試合開始4分から8分までのわずか4分間での資格没収(退場)されたのを前提に聞いている。

 井上コーチも「正直、(ケガをさせろとは)言っておりません」と、重要な文脈にともに「正直」を必ず付け足す。会見時間が経過すると「正直言っておりません」は、「覚えていません」に変化する。

 宮川選手が言われた指示を丁寧に書き記したメモを読みながら謝罪・説明会見を行ったのに対し、それを否定する指導者2人が、保身のために何も確認する書類を持たず、「正直」「率直」を無意識のうちに数えきれないほど連発する姿に、「正直なウソ」という不誠実さが浮き彫りになった。 ・・・ログインして読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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