競技、対戦相手、学生へのリスペクトに欠ける悪質タックル問題への日大の対応
2018年05月25日
会見中、内田正人・前監督(62)と、井上奨(つとむ)コーチ(30)の独特の語り口は、「指導とは何か」「指導者とはどういう人物でなければいけないのか」といった、今回の問題の本質を浮き彫りにしていたようにうかがえた。
もっとも重要な、最初の反則プレーについて内田氏は「残念ながら、観ていないというのが正直なところでして……」と答え、それ以外、約2時間にも及んだ会見中、「正直申しまして……」「率直に言って」と、わざわざ「正直」「率直」といった単語を連発した。井上コーチも、「正直、覚えていない」といった文脈を繰り返す。
残念ながら観ていなかったのが正直なところ、のプレーのはずが、試合直後の記者の囲みでは「あれぐらいやらないと勝てない。やらせているのは私の責任」(日刊スポーツの取材から)と返しており、あれぐらい、とは記者が悪質なファールと、宮川選手が試合開始4分から8分までのわずか4分間での資格没収(退場)されたのを前提に聞いている。
井上コーチも「正直、(ケガをさせろとは)言っておりません」と、重要な文脈にともに「正直」を必ず付け足す。会見時間が経過すると「正直言っておりません」は、「覚えていません」に変化する。
宮川選手が言われた指示を丁寧に書き記したメモを読みながら謝罪・説明会見を行ったのに対し、それを否定する指導者2人が、保身のために何も確認する書類を持たず、「正直」「率直」を無意識のうちに数えきれないほど連発する姿に、「正直なウソ」という不誠実さが浮き彫りになった。
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