ハリル体制のスタッフを継続、「西野ジャパン」の看板を捨てた責任の取り方
2018年06月05日
6月2日、サッカーW杯ロシア大会の日本代表23人と西野朗監督(63)が、最初のキャンプ地となるオーストリアに向けて出発した。4月にハリルホジッチ前監督の契約解除から西野監督の就任、けが人を抱えながら5月21日に千葉で始まった初めての合宿、新しいオプションとしての3バックシステムを導入した1試合だけの強化試合(30日、ガーナ戦0-2)、そして翌31日のメンバー発表と、1カ月半の慌ただしいスケジュールを何とかこなし、代表は6大会連続出場のW杯に飛び立った。
6月1日には、西野監督が、井手口陽介、浅野拓磨と国内合宿に参加していた若いメンバー2人に「バックアップメンバーとして帯同して欲しい」と直談判し、2人は1日深夜、成田空港近くのホテルに駆け込んだ。25人は、オーストリア合宿でスイス、パラグアイとの強化試合に臨む。
5月31日の発表直後から、過去の代表発表とは異なり何もサプライズがないため「ノー・サプライズジャパン」とか、キャプテン・長谷部誠は34歳、GK川島永嗣35歳、岡崎慎司は32歳、本田圭佑と長友佑都は31歳と南ア大会から3大会連続出場を果たした大ベテラン勢5人の年齢から、「年功序列代表」といったネガティブな評判をファンから買っている。事実、今回の平均年齢28.2歳は過去のW杯でも最高となる。
加えて、ギリシャ戦での勝ち点1のみで惨敗した2014年ブラジル大会のメンバーも11人選出されている。勢いのある若手がいない、代わり映えがしないといったファンの意見は、今大会の成績への期待感にも影響を及ぼしている。
「日本は決勝トーナメントに行けるかどうか」との問いに、「行けない」と答えるファンが何と8割を占めたものもあるという。
確かに年齢は高いし、代わり映えもしないかもしれない。しかし監督就任から1カ月半の間、西野監督を取材しながら、この選考には合点がいった。
前監督とともに3人の外国籍コーチが契約解除された際、かつてG大阪で監督を支えたスタッフを加えると予想した。サッカーでは、特に代表監督となればスタッフは腹心で固めるのが常套手段だ。しかし西野監督は手倉森コーチほかフィジカルコーチもそのまま、五輪代表の森保監督を引き上げた。2人はJリーグでも仕事をした関係ではない。この時、監督はハリル体制をそのまま引き継ごうとしているのではないか、と思った。
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