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「チーム学校」は「悪平等」体制を変えられるか

多忙な教師を支援する専門スタッフとの連携で、いじめや不登校に対応する試み

樫村愛子 愛知大学教授(社会学)

 「チーム学校」は、いじめや不登校、特別支援教育、貧困など子どもや家庭の多様な課題や、教員の多忙化への対応のために、これまで教員が中心となって担ってきた仕事を、専門スタッフや事務職員らと連携・分担して対応することを目指し、2015年、中央教育審議会が答申した体制である。

教員を支援するスクールソシャルワーカー。児童の登校後に靴箱を見回り、気になる児童の靴の破れや汚れを見る=2015年12月、福岡市拡大教員を支援するスクールソシャルワーカー。児童の登校後に靴箱を見回り、気になる児童の靴の破れや汚れを見る=2015年12月、福岡市
 「チーム学校」のねらいの一つは、以上のように、スクールカウンセリングやスクールソーシャルワーカーのような専門スタッフを入れて教師の多忙を軽減し授業に専念してもらうことであるが、もう一つのねらいは、こういった制度を管理職に強い権限を与えたピラミッド型組織の構築で行おうとすることである。

 教員組織のモデルには、教員の専門性と自主性に重きを置く「単層構造論」と、一般企業モデルの「重層構造論」があるが、「チーム学校」では、後者のモデルが目指されている。このトップダウン的な学校組織の変更については批判の声もすでに挙がっている(http://koukyouiku.jp/cp-bin/wordpress/wp-content/uploads/2016/09/20160213tyuukyousin3tousintohasepuran.pdf#seatch=%27%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%89%B9%E5%88%A4%27)。

 教員の負担削減については、拡大している教員の本来的業務はこのような方策だけでは減らず、心理や福祉の専門スタッフが仮に今後常駐化しても、スタッフとの打ち合わせ等でむしろますます業務が増えるという調査と懸念もある(https://digital.asahi.com/articles/DA3S13493661.html?ref?=chiezou)。

 文科省はむしろ現場の要望である、教員の増員を要求してきたが、財務省が容認せず、代替措置であるとの批判もある。
「チーム学校」体制については、学校と地域を接続し子どもの福祉を充実させたいとする福祉の側の視点も関わっている。 ・・・ログインして読む
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筆者

樫村愛子

樫村愛子(かしむら・あいこ) 愛知大学教授(社会学)

愛知大学文学部社会学コース教授。1958年、京都生まれ。東大大学院人文社会系研究科単位取得退学。2008年から現職。専門はラカン派精神分析理論による現代社会分析・文化分析(社会学/精神分析)。著書に『臨床社会学ならこう考える』『ネオリベラリズムの精神分析』、共著に『リスク化する日本社会』『現代人の社会学・入門』『歴史としての3・11』『ネオリベ現代生活批判序説』など。

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