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女優とIT社長の交際と映画産業の今(上)

男女問わずスターにはタニマチが必要 社長たちは好きなスターにしか投資をしない

杉浦由美子 ノンフィクションライター

IT企業社長との交際が報じられた女優の石原さとみさん=2018年1月、東京都中央区拡大IT企業社長との交際が報じられた女優の石原さとみさん=2018年1月、東京都中央区
 女優やタレントなどの芸能人たちとIT企業社長の交際が報道されている。なぜ彼女たちは社長と知り合っていくのか。それはいつの時代もスターにはタニマチ(スポンサーやパトロンともいう)が必要であり、女優や俳優は金を持っている人たちとの付き合いが必要だからだ。

 昭和の時代、私は同級生が宝塚の男役トップスターの運転で食事に出かけていたり、知り合いのおじさんが人気俳優を連れて歩いていたりするのを身近で見て育った。お金持ちたちはそういう風に芸能人にお供をさせて夜遊びをしていた。それは今でも変わらない。そして、今、金を持っているのはIT企業社長であり、そのため、彼らの周りに芸能人たちは集まっていく。女優だけではなく、売れっ子俳優も社長に呼ばれれば、とんでいくのだ。

 最近もジャニーズのタレントが夜遊びの席で未成年に飲酒を強要したことが大きなニュースになったが、同情論が出てくるのは、彼らが夜の街で女の子を侍らせて遊ぶのは、タニマチとの付き合いというケースも多いからだろう。「どこそこの社長に呼ばれたけどお前も来るか?」と言われたら、芸能人たちは出かける。サラリーマンが先輩に「おい、あの企業の社長と飲むけど来るか?」と言われたら、ついていくのと同じだ。

 ここで疑問が湧いてくるだろう。サラリーマンはコネクションや情報が欲しくて他社の社長と会いたいと考える。では、芸能人はどうして企業社長と繋がりたいと思うのか。食うに困る芸能人ならともかく、高収入の売れっ子たちがどうして社長との付き合いを求めるのか。今回は映画ビジネスの今に言及することで、なぜ、女優や俳優は企業社長と親しくしないとならないか、について言及していこう。

映画を作るにはまず主演の女優や俳優が投資を集める

 こんな話を聞いたことがある。最も講演がうまい職種は探検家だという。エベレスト登頂や南極に行くことに挑戦する人たちだ。彼らはまず何億かの費用をスポンサーから集める。それができないと探検に出かけられない。そのためプレゼン能力が重要になってくるからだ。登山の技術という本業での能力以前に、まず、資金を集める力が必須なのだ。

 俳優や女優も同じだ。映画製作で第一関門は、資金を集めることだ。元手がないと映画は撮れない。その際、金を集める仕事を担うのが主演俳優や女優となる。

 ドラマ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)は詐欺師たちの活躍を描いた作品だったが、映画製作投資詐欺をテーマにした回もあった。その中で映画の主演女優が降板したら、投資が手を引いてしまったと、プロデューサー(実際は詐欺師)が嘆くシーンがあった。投資家は自分が好きなスターが出る映画にしか投資したがらないという。

 実際、そういう傾向は強い。数年前のことだ。ある企業が映画に投資をしていた。公開前にその企業の社員に会ったので、「楽しみですね」と声をかけると、相手は頭を抱えてこう答えた。「うちの社長が主演のAくんを大好きで投資をしてしまった」。確かにAに合う役ではなかったし、興行成績も散々で大赤字となった。しかし、このAは最近も全国公開の話題作に主演している。Aは今でもタニマチがついていて、資金を集める能力があるのだろう。 ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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