メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

「選手を信じ切る」西野監督が勝利を呼び込む

4年前のW杯コロンビア戦での屈辱を味わった8人を起用するシナリオを実現させた

増島みどり スポーツライター

コロンビア戦に勝利し、喜ぶ西野朗監督と日本の選手たち=2018年6月19日、ロシア・サランスク拡大コロンビア戦に勝利し、喜ぶ西野朗監督と日本の選手たち=2018年6月19日、ロシア・サランスク
 FIFA世界ランキングで16位、南米の強豪コロンビアを2-1で下した瞬間だけ、西野朗監督は両手をあげて手を仰ぐようにガッツポーズをした。

 同ランキング61位の日本と16位のコロンビアは、ロシア大会1次予選でも最大のランキング格差で、まさに「ジャイアントキリング」。日本代表がW杯に初出場を果たした1998年フランス大会から20年、これまで4度も跳ね返されてきた「南米」の分厚い壁を6回目の出場で初めて突破すると同時に、それは日本にとってだけではなく、アジア勢としても18度の挑戦でもぎとった対南米の歴史的1勝ともなった。

 立ち上がり3分、大迫勇也が放ったシュートをGKが弾き、香川真司が「GKが弾く直感がした」とこれに飛び込んでシュート。陣形が大きく崩れていた中で受けたシュートに、コロンビアがハンドをおかしてレッドカードを受け、日本にPKのチャンスと数的優位が序盤で与えられる「まさかの展開」となった。

 1人少ないコロンビアに対し前半で同点にされるなど、試合運びがかえって難しくなったが、後半徐々に足が止まり始めたコロンビアに対して、25分、本田圭佑のCKから大迫勇也が留めの2点目を奪って逃げ切る。

 西野監督は96年アトランタ五輪でブラジルを倒した「マイアミの奇跡」を指揮しており、これで南米キラーも証明され、過去、岡田武史(98年)、トルシエ(2002年日韓大会)、ジーコ(2006年ドイツ大会)、ザッケローニ監督(14年)と、W杯で指揮を執った全日本代表監督が飾れなかった代表監督初戦勝利を、就任わずか2カ月であげてしまった。

 「何か特別な運があると思いますか?」と記者会見で質問されると「何とお答えしたらいいのか分からない」と、照れたように笑った。大会前の低い下馬評、日本代表に「期待しない」「負けると思う」といった冷ややかな批判を受けて始まったW杯で勝利を呼び込んだのは、西野監督の「選手を信じ切る」その姿勢にほかならなかった。 ・・・ログインして読む
(残り:約1955文字/本文:約2781文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

増島みどりの記事

もっと見る