杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター
1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
買い物は「楽しむ」から「効率的に」の変化は、なぜ起きたのか
衣料品販売の不振が言われるが、業績が絶好調の企業もある。作業服のワークマンだ。6月まで連続9カ月間売り上げが伸びている。その背景にあるのは、作業員たち以外の女性や学生といった人たちへの販促の成功だ。一方、低価格帯衣料品しまむらは業績がパッとせず、株価も下げている。
しまむらは値段の割に品質が高い商品を並べる店であり、非常に優秀な小売店である。だからこそ、リーマン・ショック後に「安くて質が高い衣料品」を求める女性達に愛され、成長してきた。なのにどうして、ここにきて不振なのか。
このふたつの衣料品販売企業の現状を見ることで、買い物のあり方の変化について考えたい。
しまむらが不振のとなっている番の要因は「他にも安い服を売る店が増えた」ということにつきよう。そして、その中に作業服のワークマンまで入ってきてる。ワークマンは商品数を増やさず、売れ筋商品に力を入れている。一方、しまむらは商品数を減らしたことで売り上げが落ちたのでまた増やすという。なぜ、このように違いが出てくるのか。
しまむらも最近は、オリジナル商品に力を入れている。しかし、元来はメーカーの売れ残り在庫を引き取って、安く店頭に並べるというビジネスモデルで成長してきた。だから、値段の割に高品質なものを販売できるのだ。現在もそのような仕入れが残っている。だから、しまむらの魅力は「宝探し」なのだ。
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