42年間描かれた作品が日本のバレエに果たした役割 そのフィクションと現実
2018年08月02日
そんなバレエ漫画の代表作、累計2000万部を超すといわれる有吉京子さんの「SWAN」が42年を経て、2018年6月発売の「SWAN MAGAZINE」(平凡社)で完結した。
1950年代の終わり頃からバレエ漫画がブームに。高橋真琴さん、牧美也子さん、北島洋子さん、谷ゆき子さん、上原きみ子さんといった漫画家が活躍し、女の子の憧れの世界を描き出した。いたいけな少女が苦難を乗り越えて……という展開が多く、“トゥ・シューズに画鋲”といったいじめの場面が印象に残っている人も多いだろう。
そして70年代に入ると、大人が読んでも読み応えのある大作が生まれてくる。その2大巨頭が、71年連載開始の山岸凉子さんの「アラベスク」と、76年連載開始の有吉京子さんの「SWAN」。どちらも、今、読んでも、バレエをよく取材しリアルに描かれていることを感じる。あの頃、日本には決してバレエの資料は多くなかった筈だ。
ちなみに、私自身、この連載時はまだ子供。小学校高学年か中学生くらいだっただろうか? 連載誌ではなく、単行本になってから手にして、貪るように読んだ。それは楽しみながら、夢中になりながらだったが、バレエのレッスンとは別に、この2つのバレエ漫画に随分バレエの作品について勉強させていただいた気がする。
このうち「アラベスク」は、キエフ出身の女の子ノンナがレニングラードのバレエ学校に……という当時のソ連を舞台にした物語。対して、「SWAN」は、日本人、北海道の小さな教室でバレエに取り組む聖真澄が主人公。日本のバレエ教室の状況をリアルに、彼女が世界的に活躍するバレリーナになっていく成長過程を美しく繊細な絵とともに描いた。
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