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成熟していく東方神起とJYJ

兵役、活動再開、ライブでの騒動……話題を振りまきつつ歩む5人

小野登志郎 ノンフィクションライター

韓日交流総合展(主催:韓国知識経済部、文化体育観光部、主管:KOTRA、韓国コンテンツ振興院)の広報大使として、スピーチするJYJ。左からジュンス、ジェジュン、ユチョン=2012年11月15日、大阪市住之江区のインテックス大阪拡大韓日交流総合展(主催:韓国知識経済部、文化体育観光部、主管:KOTRA、韓国コンテンツ振興院)の広報大使として、スピーチするJYJ。左からジュンス、ジェジュン、ユチョン=2012年11月15日、大阪市住之江区のインテックス大阪
 「東方神起の今」といった題材で原稿を書けないか、とWEBRONZA(ウェブロンザ)編集部より打診された時、正直、困った。「今、この題材を扱う意味はあるのか」と思ったからだ。

 大スター、マスの時代は去り、細分化、多様化していく昨今の芸能界と日本の社会、多くの人々にとってSMAPの解散がその象徴になっただろうと思ったし、それは、昭和の匂いを残した平成の終わり、そして、東方神起の分裂騒動とは、その先端を行く大きな「事件」だったと思う。その「事件」は裁判の終わりとは違ったところで終焉し、人々の記憶の外へと消えていったと考えていたからだ。

 この題材に興味を持つ人にとってはもうだいぶ前から常識なのだが、誰が好きだとか、全員が好きだとか、もうほんとどうとかこうとか、それぞれのポジションによって意見、考え方が違う。ある程度の客観性や真実はあるにしても、そのポジションによって解釈はブンブンと振り回されることになることを、わたしたちは嫌というほど、経験した。人はなかなか分かり合えない。

 5人時代の東方神起を知る古くからの友人女性(40歳代)は、「あの時(分裂騒動)は凄かったよねえ。今は5人時代を知らない人も多いし、今は落ち着いて過去を振り返ることができるよね」などと話し合っていた。なにがなんだかわからないうちに引き込まれていった分裂騒動当時を思い出すにつれ、「あの時はホントに凄かったんだから!」と、おじさんのわたしは強く、そして柔らかに、知らない人に言ったりすることは、今もある。

2年以上の兵役と過ぎ去ったかに見える熱狂

 これを読んでいる読者の中にも、過去にあったあの騒動の凄まじさを知らない人も少なくないだろうが、それは、「東方神起 分裂」とググれば、ネットのそこかしこに落ちているので、興味があれば見てみるとよいかもしれない。わたしはもう、見たくもないが。

 終わったなあ、マスを巻き込んだ狂騒と熱狂の日々は。そう思いながら、今の東方神起とJYJのことを見ていた。もう、「あの頃」には絶対に戻れないし、戻る必要もないし、なにも書くことはないのだろうなあと。

 10代のころから一緒に活動していた若かった東方神起の5人は、ある時に分裂し、それぞれ活動し、そして、それぞれの時期に徴兵されていった。軍隊という合理的な不条理の世界で「大人の男」になって帰ってくるだろう5人のその後は、やっぱり若い時代を取り戻せないだろうなと思っていた。そんなとき、今の東方神起の活動再開のニュースを見た。さすがの復活劇だった。そして、先ごろ、JYJのジェジュンが復活した。

 ジェジュンのパフォーマンスがどうのこうのよりも、古くからのジェジュンファンの反響が凄かった。その反響をみて、「あの頃を思い出すよねえ」と古くからの友人が言った。そして、これはまったくの偶然だが、分裂直後のJYJと仕事をしたことがあるプロデューサーから2年ぶりに電話があり、あの時の話をしたりした。

 プロデューサー氏は「あの頃」を振り返り「ジェジュンは日本語がとっても上手で礼儀正しく、ジュンスは打ち上げでカラオケを歌いまくって愛嬌たっぷり、ユチョンは、飲み会には参加しないで我が道を行っていたなぁ」と過去を振りかえった。

 よく知られるように、「あの頃」とは違い、芸能プロダクションと芸能人の力関係には激変が起こった。契約慣行に対し、国家のメスさえ入ってきているくらいだ。

 過去の東方神起の5人の物語は、終わったし、終わっていない。そう思うことで、なにやら勝手に、わたし自身が華やいだ気持ちになった。「あの頃」というのは、とても良いことだと、そして、「あの頃」はやっぱり「事件」だったのだと。

 巷ではK-POPブームは去ったと言われる。かつてあった熱狂が嘘のようだと。

 実際、新大久保周辺のK-POPの聖地もかつてのような賑わいはない。しかし、人気が全くなくなったかといえば、そのようなことはない。

 一時期の過熱報道が収まっただけであり、多くの女性、男性が、それぞれのグループ、コミュニティ内で応援を続けている。グループもファンも細分化、多様化した中でそれぞれの活動と物語を紡いでいる。

 この間、北朝鮮問題、慰安婦問題、徴用工問題など、日本と韓国の両国では、メディア上で国家間の話題が尽きることはない。隣国同士の問題は、どこの国にも起こることであり、日韓関係だけの話ではない。騒ぎ立てたい人と、それを面倒に思い、スルーする人がいるだけだ。そういった国家間の話は、個人個人の関係には関わりのないことではあるが、自国への思いから悪感情を生むこともある。

 その矛先は、メディアを通じて広く世間に知られる著名なアイドルたちへも向かってしまう。昨年、再起動して大人気に返り咲いた東方神起も、その荒波に揉まれた。

 先述したように、東方神起を含めた韓流スターたちに立ちはだかる壁といえば兵役なのだが、日本でも高い知名度を誇るK-POPグループ・東方神起もまた、兵役によって2015年6月より17年8月まで、長らく活動を停止せざるを得なかった。

 2年以上、兵役中は動静が報じられることも少なかったため、ファンが離れてしまうのではないか、そんな心配の声も多く聞かれた。実際に韓国では、兵役中に別のアイドルを応援しはじめる人も少なくないということだが、それでも東方神起を待ち続けていた日韓のファンは多かった。

活動再開と日本ツアー

 2人揃っての活動再開、ファンの間では「ユンホもチャンミンも、歌声にブランクを感じさせない。すごい!」「いいなぁ、この2人の相変わらずな雰囲気が。本当に大好き」と喜びの声が無数にあがった。

 その人気ぶりは、昨年11月より始まった除隊後初の日本ツアー「Begin Again」の動員数が100万人を突破したという事実が示している。

 また、改めてK-POPブームを再燃させてくれるのではないか、その業界の芸能関係者の間でそう囁かれてさえおり、東方神起の実力はいまだに、底が見えない。未来を新たに創り出している。

 一方、東方神起が日本で再び急上昇したことを発端として、目に見える形で日韓の問題も噴出している。東方神起が今年4月に発売した新曲『Love Line』のイメージビデオ中、表示された世界地図上で日本列島だけがなかったのだ。所属事務所のS.M.エンターテイメントは、当日中に動画の配信の削除と「東方神起、韓国8thアルバムの収録曲である「Love Line」のミュージックビデオにつきまして」と題してコメントを発表している。

 “ミュージックビデオの制作会社である ・・・ログインして読む
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筆者

小野登志郎

小野登志郎(おの・としろう) ノンフィクションライター

1976年、福岡県生まれ。早大中退後、フリーのライターとして執筆活動を始める。在日中国人や暴力団、犯罪などについて取材し、月刊誌や週刊誌に記事を掲載している。著書に『龍宮城 歌舞伎町マフィア最新ファイル』『ドリーム・キャンパス』『アウトロー刑事の人に言えないテクニック』など。

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