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2020年度入試改革は点数上乗せが裁量で可能に

東京医大不正入試は構造的問題 上級官僚や政界有力者の子弟の優遇は当たり前に?

和田秀樹 精神科医

文科省局長の息子の裏口入学に絡む贈収賄事件が発覚した東京医科大=2018年7月4日、東京都新宿区文科省局長の息子の裏口入学に絡む贈収賄事件が発覚した東京医科大=2018年7月4日、東京都新宿区
 文科省の局長が、私立医大ブランディング事業に東京医科大を選定して補助金を支払った見返りに、自分の子弟を不正入試で合格させてもらった疑いで逮捕され、7月24日に受託収賄罪で起訴された。不正に合格させたとされる東京医大の前理事長と学長も贈賄罪で在宅起訴されている。私は、これを「事件」と考えていない。むしろ、構造上起こるべくして起こることと捉えている。

 今回は私立大学の補助金がらみであったが、日本の場合は私立大学もほとんどのところで文科省の補助金なしでは経営が成り立たないうえ、2004年にすべての国立大学が国立大学法人に移行した。建前上は財政を国が保証することになっているが、年々運営交付金が減らされるシステム(これによって、国立大学法人の自助努力を促す建前になっている)であるために、国から出る(実際は文科省が決める)研究費などに依拠する部分が大きくなっている。

 実際、2007年には文科省の次官が教育経験もなく、教職員投票では2位であったにもかかわらず山形大学の学長に就任しているし、ほとんどの国立大学法人でなぜか理事に文科省の役人が出向している。

 評価は分かれるが、山形大学は研究費を潤沢に引っ張ってくることができたために、有機エレクトロニクスの日本の研究拠点になったとされる。

 すべてが文科省からの見返りを求めているとは言わないが、現実に論文を一本も書かずに役人が国立大学の教授になっているのは周知の事実である。

 法人化して人事面で、各大学が文科省に忖度している現実が、今度は子弟の入試に及んだという理解を私はしている。

 今回の「事件」では、贈賄側が補助金を受け、収賄側は、点数の足りなかった子供を合格させてもらうというわかりやすい構図だったが、補助金を直接決める立場になかったなどということも含めて、贈賄側が大筋で認めていても、有罪にするのは困難だという報道もあった。

 これが2020年度の入試改革によって、国立の大学で不正入試の扱いでなくても、点数を引き上げることが可能になる。

 以前にも本コラムで問題にしたことであるが、2014年に中央教育審議会が答申した大学入試改革案(以下「答申」と呼ぶ)によると、センター試験が廃止され、記述式を導入した新テストに移行するだけでなく、2次試験も大幅に改訂される。

 この「答申」では、これまでの知識量を問う学力については、「従来型の学力」と切り捨てられ、「思考力・判断力・表現力」を踏まえた多面的な選抜方式を取れという風に明示されている。さらに同答申では、

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