朝から活動する観光客を意識 名庭園をながめながらの京料理
2018年08月10日
京都の夏は朝が早い。
あけぼのに花開く蓮に合わせて、花園の法金剛院をは
花に誘われて早起きするばかりではない。洛中洛外、夜明け早々に行われる座禅会もあれば、本堂でヨガの講習があったり、講話を聴いて朝粥をいただいたり写経ができたりと、観光ガイド本にはあからさまに載っていない寺社の行事も数多ある。そこへ訪れる人々は、単なる物見遊山ではなく、目的をもって遠方から来ている人が多い。出張で1泊したサラリーマンが、新幹線で帰途につくわずかな時間を利用して、早朝写経をしているのを見かけたこともある。
今や誰もが、特別な京都を経験してみたいという。
朝7時ごろの市バスには、通勤の人に混じって、大きなトランクを引きずった海外からの旅行者をよく目にする。はやばやと活動する観光客の動向を見越してか、京都市は観光施設の開館を早めている。世界遺産の二条城も7月から9月30日まで、朝8時から入城できる。
街の真ん中にある二条城は、慶長8年(1603)、徳川家康が上洛の際の宿泊所として築城した平城である。往時の姿をとどめる国宝二の丸御殿の鶯張りの廊下を、観光客のまだいない朝の静寂に、ゆっくり歩くのも贅沢なひとときである。部屋数33室、800畳もある御殿には、かの有名な松鷹図に虎や豹など、金壁障壁画が各部屋を彩り、何度訪れても圧倒される。
さらに、事前に予約を入れてうまくいけば、本丸御殿の北側にある香雲亭で京ゆば粥御膳の朝食がいただける。
半世紀前に作庭された昭和の名庭・清流園に建つ香雲亭は、京都の豪商角倉家の建材でもって建てられた風雅なあずまやである。庭園の奇石も樹木も、大堰川や高瀬川を開削した角倉了以ゆかりのものだ。ときおり茶会や結婚式など特別な催しに使われるが、通常は非公開である。そこで1日40食限定の朝御膳が供される。
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