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医学部入試問題をミスリードする理由(上)

医師不足が深刻な現在、性差別をする余裕はない 差別と憤る人たちはなぜミスリード?

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 東京医科大の入試で女子に不利になるように調整されていたことが発覚し、注目されている。

 調整がなければ合格していた女子受験生が憤るのは分かる。

東京医科大正門間で抗議活動をする人たち=2018年8月3日、東京都新宿区拡大東京医科大正門間で抗議活動をする人たち=2018年8月3日、東京都新宿区
 しかし、外野の人間でミスリードしている人が多いのは事実だ。

 先の記事でも書いたが、なぜ私立大学が医学部を経営するかといえば、大学病院等々で働く医局員を養成するためだ。入試が採用試験の役割もしており、そのため、将来、退職リスクが高い女子の数を減らしてきたわけである。

 これに対して、「今どき結婚や出産で医師を辞める女性なんていないのに、退職リスクなどというのはおかしい。女性差別だ」という意見もあるのだが、これを言っている人たちはふたつ読み間違えをしているのだ。

差別する余裕などはない

 まず、ひとつめはいまだに医学の世界では昭和の時代のような女性差別があると信じている。

 50代後半の著名な男性医師がSNSで「自分が学生だった頃に、教授が女子が医学を志すなどあってはならないと説いていた。その考えがいまだに残っているのだ」という趣旨の投稿をしていた。

 この投稿をどうして知ったかといえば、取材で接した女性医師が「呆れた」といってメールで送ってきたからだ。

 残念ながら、今の医学界は人材不足なので、性別で差別などしている余裕がない。順天堂や帝京大学は優秀な学生を呼び込むために、医学部の学費を安くし、偏差値をあげた。どこも生き残りに必死なのだ。そんな時代に差別など出来ない。

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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