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歴史、アジアの視点が示された大地の芸術祭(上)

第7回越後妻有アートトリエンナーレに見えた現場の変化と多様な評価

樫村愛子 愛知大学教授(社会学)

 3年に一度、新潟県十日町市と津南町で開催されている「大地の芸術祭 越後妻有(えちごつまり)アートトリエンナーレ」第7回(7月29日~9月17日までの51日間)が好調だとされる。前半期(7月29日~8月19日)の入場者数について、22日間で21万3608人が訪れ、前回(2015年)同時期の19万7599人を上回る人出となっていた。

 8月20日、十日町市の関口芳史市長は会見で、(1)芸術祭自体の認知度向上(2)写真映えする作品の誘客効果が大きい(3)国際的な芸術祭として外国人客が増加した等を理由として挙げていた(朝日新聞8月21日新潟版)。

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」のMADアーキテクツ「Light Cave」(2018年)=2018年7月29日、新潟県拡大「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」のMADアーキテクツ「Light Cave」(2018年)=2018年7月29日、新潟県
 実際、最も人気を集めた(3万5777人)、十日町市中里地域に設置された清津峡渓谷のトンネル施設「Light Cave(ライトケーブ)」(中国の建築家馬岩松(マヤンソン)らの作品)は、清津峡渓谷の美しさ、風景を映し出す美術装置の力も伴い、インスタ映えしていた。

 また、2017年度展覧会入場者数ベスト4(61万人、森美術館)となった人気のエルリッヒによる作品「空の池」を中心に据えた、越後妻有里山現代美術館「キナーレ」(3万4795人が入場)も、キナーレの建築構造上、大きな中空となっている中庭の池を埋めるように、エルリッヒの作品が錯覚を利用し、青空と白い雲を映すスペシフィックなものとなっていた。オフィシャルツアーを担う越後交通のバスガイドさんも、今年の作品は(視覚的で)わかりやすいと指摘していた。

北川フラム・ディレクターが重視する自然

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筆者

樫村愛子

樫村愛子(かしむら・あいこ) 愛知大学教授(社会学)

愛知大学文学部社会学コース教授。1958年、京都生まれ。東大大学院人文社会系研究科単位取得退学。2008年から現職。専門はラカン派精神分析理論による現代社会分析・文化分析(社会学/精神分析)。著書に『臨床社会学ならこう考える』『ネオリベラリズムの精神分析』、共著に『リスク化する日本社会』『現代人の社会学・入門』『歴史としての3・11』『ネオリベ現代生活批判序説』など。

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