杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター
1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。
MAX、三浦大知らライジングのアーティストは芸能のレベルを上げすぎてしまったのか
9月16日に安室奈美恵が引退した。一記者として安室奈美恵の引退を残念に思っていた。なぜなら、歌手は年齢を重ねるほど歌がよくなるからだ。人生経験や経験値が反映されるからだ。
安室奈美恵は1990年代にアムラー現象を起こした後に、小室哲哉プロデュースから離れると一時期低迷したが、その後、R&B路線で再ブレイクをした。成熟したボーカルや若い頃と変わらない踊りっぷりで観客を魅惑した。彼女が引退をするのは今後パフォーマンスの質を維持することが無理だと判断したからだろう。ならば、踊りの量を減らせばいいのにと思ったのだ。あれだけのボーカリストなのだから、踊らなくても通用するのでは、と。しかし、それは音楽ビジネスの専門家でない人間の浅い考えである。
本稿では安室奈美恵の引退の理由を探りながら、日本の音楽業界でなぜジャニーズがあれだけ強いのかを考えていきたい。なぜ、ジャニーズの話が出てくるかといえば、彼らが安室奈美恵とは正反対のビジネスモデルで成功しつづけているからだ。
安室奈美恵の引退直前の9月13日にジャニー喜多川の後継者になるべく、滝沢秀明が年内で引退をすることを発表した。同じ引退でもまったく意味は違う。
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