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安室奈美恵の引退とジャニーズトップ交代(下)

アイドルは一過性、実力派アーティストは長く活動できるという昭和的な発想の終焉

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 人気ファッション誌『Sweet』(宝島社)の10月の表紙は安室奈美恵だ。41ページの大特集となっている。この中のインタビューで、こう話している。

 「当時は10代でデビューすると、どんな楽曲を歌っていてもアイドルという枠だったので、そうじゃないというところをみせるために、あまり笑顔をみせないとか、かっこいいところだけを追求するとか、可愛い色やデザインは着ないとか、そういう感じでやってましたね」

2002年の紅白歌合戦で歌う安室奈美恵さん=2002年12月31日、東京・渋谷拡大2002年の紅白歌合戦で歌う安室奈美恵さん=2002年12月31日、東京・渋谷
 安室が10代の頃から、自分はアイドルではない、アーティストだという自意識を持っていたことが分かる。それはそうだろう。ジャネットジャクソンに憧れて、音楽活動を始めた人だから。この自意識こそが女性ファンの憧れで、ありつづけたゆえんだろう。可愛さよりもかっこよさを追求してきた。しかし、この自意識ゆえに彼女は引退をしていくことになったようにも思える。

アイドルほど実は長く活動できる

 今年、『ミュージックステーション』に三浦大知が出演した時のことだ。ジャニーズのHey! Say! JUMPの山田涼介が三浦を「ダンスと歌の怪物」と表現した。パフォーマンスのクオリティでは決して自分たちアイドルは、三浦にかなわないと敬意を表した。確かに三浦大地は世界的なレベルのアーティストだ。

 しかし、CDアルバムの売り上げもコンサート動員数も、Hey! Say! JUMPは三浦よりずっと上を行く。Hey! Say! JUMPが今年リリースしたアルバム『SENSE or LOVE』は発売初日で12万7852枚を売り上げ、トータルで20万枚に達しているという。一方、三浦大知のベストアルバムは最初の週で6.8万枚であった。むろん、三浦の数字も今のご時世的には素晴らしい記録だ。だが、ジャニーズは桁が違う。

 そして、嵐やV6などをみていれば分かるように、ジャニーズのアイドルグループは何十年も継続し活躍している。嵐は来年デビュー20周年だが、コンサートのチケットは入手困難はいまだに続いている。ファンクラブの会員たちも「5年に一度しかチケットが当たらない」と嘆く。

 デビュー当時からのファンが去らず、新規のファンが増えていくのだから、チケット争奪戦はどんどん激しくなっていく。ここでみえてくるのは、アイドルは一過性の人気者で、実力派のアーティストは長く活躍できるという昭和的な価値観は間違っているということだ。

ジャニー喜多川はタレントがアーティストになることを嫌った

 ジャニー喜多川は、自社のタレントがアーティストになることを嫌い、アイドルとして活動することにこだわってきたといわれる。 ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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