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LGBTカップルの支援は少子化対策に必要か

未婚者はマンションを買わないが、LGBTカップルは家を建て親になる可能性がある

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 LGBTへの理解が広がると共に、反発も強まっている。『新潮45』の騒動の際も、新聞記者などのメディア関係者たちが「LGBTカップルを国が支援するのはおかしいと思うが、もっと賢い書き方があるだろう」というのを何度か耳にした。“意識の高い”彼らは差別はいけないが、LGBT支援には反対の考えを持っているようだ。

 実際、柴山昌彦文部科学大臣は3年前に討論番組『ビートたけしのTVタックル』で、「差別をすることはこれからなくしていかなければならない」としながらも、「同性婚をね、制度化したときに、少子化に拍車がかかるんじゃないか、ということを」と発言し、物議をかもした。この発言に対して、同席した他の出演者たちが「少子化の問題と同性婚の問題というのは分けて考えた方がいい」「国の役に立たない人間は認めないって話じゃないですか」と批判もとんだ。

 この議論は的外れなように思う。国は国にとって利益になる人間しか支援しようとしない。昨今の子育て支援や女性活用推進は「少子化で人手不足なので女もサボらずに働け」という理由からだ。そして、LGBTカップルの支援も同じように企業や国にとって利益になるから推進しようとしているのだ。今回はなぜLGBTのカップルの支援が国益になるかについて言及したい。

住宅情報誌でLGBTカップル特集

レインボーフラッグを手にLGBTへの理解を呼びかける支援者たち=2016年5月、和歌山市拡大レインボーフラッグを手にLGBTへの理解を呼びかける支援者たち=2016年5月、和歌山市
 分譲マンション情報のフリーペーパーで、LGBTのカップル特集が組まれていた。実際にマンションを購入した女性同士のカップルや、男性同士のカップルの体験談を紹介している。女性同士の場合は、若い方がローンを組んでいた。二つのカップルともマンションでの暮らしは快適だと話し、LGBTのカップルにマンション購入を勧める記事になっている。また、楽天銀行とみずほ銀行などの銀行では、住宅ローンをLGBTカップル対応にしてピーアールしている。

 日本人の消費が冷え込んでいるといわれて久しい。その最大の理由は、非婚化であろう。昭和の時代のマーケティングは男女が結婚して、夫の名義でローンを組んで家を建て、子どもが生まれるとファミリーカーに買い替え……といったものだった。そのライフスタイルに合わせて、商品を提供すればよかった。しかし、現在は非婚化で子どもも産まないので、そういった従来型のマーケティングが成り立たない。未婚の人間は経済力があっても住宅を買わない傾向がある。賃貸で十分だからだ。

 以前、大手不動産会社を取材した際に、雑談で、「私、マンションを買おうか悩んでいて」と相談すると、「独身者は買う必要ないですよ。住宅を買うメリットは住宅ローンが生命保険になるからです。 ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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