求められる前日発表、運転再開時の点検、多言語対応 平日なら影響は2倍
2018年10月11日
観測史上最高の大雨や、非常に強い勢力のまま上陸する台風など、極端な気象が相次ぐ最近、鉄道各社が荒天の前に列車の運行停止を決める「計画運休」に踏み切っている。不要不急の外出を控えることは防災の第一歩。それを促す意味で、効果的な策といえる。ただし百万人単位の「足」を止める以上、十分な周知が大前提。やり方を誤れば大混乱につながる。定着には鉄道各社のさらなる努力が必要だ。同時に、「空振り」であっても許容する社会のありようも求められている。
JR東日本の深沢祐二社長は10月3日、記者会見でそう断言した。
台風24号が列島を縦断した9月30日、同社は初めて首都圏の全路線で計画的な運休を実施した。在来線だけで1218本、約45万人に影響が及んだ。それでも肯定的に振り返っただけでなく、「同じ規模の台風が来れば、平日でも同じ判断をする」とまで言い切った。
今回は利用者が少ない週末だったことや、ロックバンドの「X JAPAN」が千葉・幕張メッセでの公演を中止するなど、多くのイベントも取りやめとなった。そうした周囲の環境にも救われ、大きな混乱は起きなかったといえる。
ただし平日なら影響人員は2倍になる。本当に実施できるのか。
今のやり方では、混乱は必至といわざるをえない。駅前に人が滞留し、タクシー乗り場には長蛇の列、帰る手段を失った人が暴風雨のなか、徒歩による帰宅をしいられる――。
そんな恐ろしい光景が目に浮かぶ。
理由は、JR東日本の判断が遅いことにある。今回の台風24号で、同社は30日の正午すぎに「午後8時以降の列車を全面ストップする」ことを発表した。8時間前では、午前中に出かけてしまった人は、帰りの足を失う。実際、相当数の人が駅まで来て運行打ち切りを知り、タクシーなどで帰ったとみられる。
ちなみにJR西日本など近畿の鉄道も計画運休を実施したが、同社は前日のうちに京阪神の全線の運休を決めていた。なぜ東日本は「遅れた」のか。
30日午前、都内では風雨もさほど強くなく、首都圏では晴れ間もみられた。だが、
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