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消えた政治討論「サンプロ」「時事放談」[10]

3人の首相退陣のきっかけをつくった田原総一朗の追及、安倍1強で失われた党内の論争

川本裕司 朝日新聞記者

 政治家と真剣勝負を繰り返してきた田原は、政界と深く関わったがゆえに対応に苦慮したことがあった。

 小渕内閣で98~99年に官房長官を務めた野中は2010年、官房機密費について「毎月5000万~7000万円くらい使っていた」と暴露した。自民党の国対委員長や参院幹事長のほか、評論家や野党議員らにも配ったことを記者団に明らかにするとともに、「持って行って断られたのは田原総一朗さん1人」と述べた。

 田原は東京・赤坂のホテルのバーで会った野中から「いいお茶が入った。受け取ってほしい」と渡された。重いと感じた田原が「金じゃないのか」と尋ねると否定された。別れたあとトイレで中身を確認すると、現金1000万円が入っていた。自民党の有力政治家に相談しても、らちが明かない。結局、野中の地元の京都を訪ね、長文の手紙と一緒に現金を返却した。

 田原が政治家から現金を渡されたのは2度目だった。田中角栄(1993年死去)が首相を退任してから6年後の80年、東京・目白の自宅で田原が初めてインタビューしたあと、現金100万円を渡された。その足で東京・平河町の田中事務所に行き、秘書に返したら、「オヤジは怒るぞ。自民党の取材は一切できなくなる。受け取ってもらいたい」と言われた。しかし、応じなかった。2日後、「オヤジがOKした」と秘書から電話があった。

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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞記者

朝日新聞記者。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを歴任。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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