メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

強豪ウルグアイに勝った森保ジャパンの強さの秘密

変化しながら融合、途中交代に起用した青山への指示で見えた監督の狙い

増島みどり スポーツライター

 意外にも、埼玉スタジアムでの日本代表戦は、昨年8月31日、W杯ロシア杯出場権を手中にしたオーストラリア戦以来1年2カ月ぶりだった。W杯2度優勝、ロシア大会でもベスト8に進出した強豪・ウルグアイとの一戦(10月16日、キリンチャレンジカップ2018)に足を運んだ5万7000人も聖地での代表戦に胸を高鳴らせていたはずだ。しかし、最新の世界ランキング5位の世界的強豪ウルグアイを相手に、両チームで7得点の打ち合いになるとは予想できなかったのではないだろうか。

 ましてや、日本が勝つとは。

 森保一(もりやす・はじめ、50)監督就任後3試合目となった世界ランキング5位のウルグアイとの一戦は、新チームで勢いに乗る若手ストライカー、南野拓実の先制ゴールでスタートした。前半10分、ハリルホジッチ前監督が3月に招集したもののロシアには届かった中島翔哉が、左サイドから思い切った長い縦パスを南野に送り、南野はこれをターンで振り切りシュート。日本はこの試合最初のシュートをゴールとし、攻撃のリズムを掌握しようとスピードを上げた。

 試合前、森保監督は試合前、選手に「我々はロシアでベスト8には届かなかったが、ベスト8のウルグアイと同じ目線で(相手に敬意を払い過ぎることなく)戦って欲しい」と、世界のトップを目指すよう伝えている。90分間は目線だけではなく、フィジカル、スピード、サッカーでは近年盛んに強さ、激しさ、厳しさ、或いは集中力の高さといった能力を強調する際に用いられる「インテンシティ」の高さでも、世界の強豪に一歩も引かなかった。

ウルグアイ戦前半、シュートを決める日本代表の大迫=2018年10月16日、埼玉スタジアム2002拡大ウルグアイ戦前半、シュートを決める日本代表の大迫=2018年10月16日、埼玉スタジアム2002
 前半は「ロシアの悔しさはまだ消えない。反骨心を持って臨んだ」と意気込んだロシア組・大迫勇也も1点を奪って2-1で降り返す。後半も、20歳とチーム最年少の堂安律が日本代表初ゴールで3点目を奪い、南野が2ゴール目を奪って4-3で壮絶なうち合いを制して、ウルグアイからは22年ぶりの勝利。日本代表として国際ランカー(一桁)の国を破ったのも、チェコ、アルゼンチン、ベルギーに続き、まだ4回目の大きな1勝をもぎ取った。

 試合後、ウルグアイのタバレス監督(71)に「日本の爆発的な攻撃に(ウルグアイが)消耗してしまった」と言わせるなど、多少大味な試合ながら、最後まで前を向き、縦への突破を意識した世界仕様の90分をやり抜いた点も評価できる。西野朗監督から森保監督に引き継がれて3試合目、変化しながら融合する、という別の化学式がピッチで実現されていく様子は興味深い。

ラスト15分に見る‘本気モード’に森保監督の狙いが

 W杯を3大会連続で経験する選手にけん引された「熟成」の代表から、新酒のような若く、経験も浅い代表に一気に転じて3試合目に、課題など指摘しても面白くはない。しかし、交代枠6人をわずか2人しか使わずに試合を終えようとした森保監督の狙いのポイントは、後半29分、前の2試合でゲームキャプテンを務めた青山敏弘を投入したシーンにあったように見えた。 ・・・ログインして読む
(残り:約1157文字/本文:約2409文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

増島みどりの記事

もっと見る