変化しながら融合、途中交代に起用した青山への指示で見えた監督の狙い
2018年10月23日
意外にも、埼玉スタジアムでの日本代表戦は、昨年8月31日、W杯ロシア杯出場権を手中にしたオーストラリア戦以来1年2カ月ぶりだった。W杯2度優勝、ロシア大会でもベスト8に進出した強豪・ウルグアイとの一戦(10月16日、キリンチャレンジカップ2018)に足を運んだ5万7000人も聖地での代表戦に胸を高鳴らせていたはずだ。しかし、最新の世界ランキング5位の世界的強豪ウルグアイを相手に、両チームで7得点の打ち合いになるとは予想できなかったのではないだろうか。
ましてや、日本が勝つとは。
森保一(もりやす・はじめ、50)監督就任後3試合目となった世界ランキング5位のウルグアイとの一戦は、新チームで勢いに乗る若手ストライカー、南野拓実の先制ゴールでスタートした。前半10分、ハリルホジッチ前監督が3月に招集したもののロシアには届かった中島翔哉が、左サイドから思い切った長い縦パスを南野に送り、南野はこれをターンで振り切りシュート。日本はこの試合最初のシュートをゴールとし、攻撃のリズムを掌握しようとスピードを上げた。
試合前、森保監督は試合前、選手に「我々はロシアでベスト8には届かなかったが、ベスト8のウルグアイと同じ目線で(相手に敬意を払い過ぎることなく)戦って欲しい」と、世界のトップを目指すよう伝えている。90分間は目線だけではなく、フィジカル、スピード、サッカーでは近年盛んに強さ、激しさ、厳しさ、或いは集中力の高さといった能力を強調する際に用いられる「インテンシティ」の高さでも、世界の強豪に一歩も引かなかった。
試合後、ウルグアイのタバレス監督(71)に「日本の爆発的な攻撃に(ウルグアイが)消耗してしまった」と言わせるなど、多少大味な試合ながら、最後まで前を向き、縦への突破を意識した世界仕様の90分をやり抜いた点も評価できる。西野朗監督から森保監督に引き継がれて3試合目、変化しながら融合する、という別の化学式がピッチで実現されていく様子は興味深い。
W杯を3大会連続で経験する選手にけん引された「熟成」の代表から、新酒のような若く、経験も浅い代表に一気に転じて3試合目に、課題など指摘しても面白くはない。しかし、交代枠6人をわずか2人しか使わずに試合を終えようとした森保監督の狙いのポイントは、後半29分、前の2試合でゲームキャプテンを務めた青山敏弘を投入したシーンにあったように見えた。
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