石川温(いしかわ・つつむ) ジャーナリスト
1975年生まれ。中央大学商学部卒業後、98年、日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。月刊誌『日経TRENDY』の編集記者として通信、自動車、ホテル、ヒット商品などを取材。2003年に独立後、携帯電話、スマートフォン業界を幅広く取材。近著に『スティーブ・ジョブズ 奇跡のスマホ戦略』がある。有料メルマガ『スマホ業界新聞』を配信中。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
菅官房長官に「4割値下げ」発言で携帯業界が激震、進む社員の配置転換や金融への進出
菅義偉官房長官の「携帯電話料金は4割値下げの余地がある」という発言が、日本の通信業界の構造を激変させる恐れが出てきた。
NTTドコモは、菅官房長官からの圧力に屈する形で「2019年度第1四半期に2~4割の値下げをする」(吉澤和弘社長)と発表。
一方、KDDIは「すでに新料金プランを提供しており、従来から3割程度、ユーザーに対する請求額が下がっている。官邸からの宿題はすでに済ませている」(高橋誠社長)という。
また、ソフトバンク・孫正義会長も「我々が提供しているウルトラギガモンスター+というプランは世界一、ギガ単位が安いのではないか」として、また、宮内謙社長は「ワイモバイルで提供しているプランは今後、1~2割程度値下げする」とコメントした。
NTTドコモの値下げに対して、いまのところ、KDDIやソフトバンクでは対抗値下げをする考えはなく、いずれも「すでに新しい料金プランを入れている」として、静観の構えのようだ。
しかし、ソフトバンクでは、将来的に値下げに対抗する可能性もあり得るために、大胆にも、組織の改造に着手することを明らかにした。ソフトバンクで国内通信事業に携わる社員の4割を、今後成長が期待できる分野に配置転換するとしたのだ。
孫会長は「ドコモの値下げプランは来春になるまで具体的な引き下げ額はわからない。どのような状況になっても、増益を維持できるように、コストダウンを図って経営効率を上げる必要がある」とした。人員削減の時期は「具体的には決めていないが、これから2~3年になると思う」(孫会長)という。
ソフトバンクでは、国内通信事業の上場を目前に控えており