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遠藤保仁、J1フィールド選手初の600試合出場

ガンバ大阪の38歳MFが隠し持つサッカーへのあくなき探求心と丈夫の秘密

増島みどり スポーツライター

 2018年11月10日は、日本のサッカー界が目まぐるしく動いた1日だった。それも世界と肩を並べる方向へ近づくように。

 先ず、川崎がC大阪と対戦し1-2で敗れたものの、年間勝ち点を63に伸ばしてJリーグで史上わずか5チーム目の連覇を果たした。鬼木達監督(44)率いるクラブは、38歳の大黒柱・中村憲剛(MF)を中心に攻守のバランスを独自にブレンド。Jリーグが公表するデータでは、走行距離が18チーム最下位となるなど、走らされるのではなく、意図のもと走るサッカーを成熟させた。

 また総得点のうち約9割を日本人選手が決めるなど、前線でも外国籍選手に頼らない攻撃で、首位を快走した広島との勝ち点差最大13点をひっくり返した。攻守のオリジナリティは、日本代表における「国内組」の圧倒的な存在感を示したともいえる。

 日本では12日に変わったが、イラン現地11日、ホームで先勝した鹿島が、イランの「ぺルセポリス」と対戦し0-0と(合計2-0)クラブ初のACL制覇を果たしアジア王者に輝いた。鹿島はこれでクラブとして主要タイトル20冠目を手にし、日本勢の連覇(昨年浦和)もまた間違いなく、Jリーグが世界と戦う日本代表を押し上げた。

 川崎、鹿島の活躍に紙面の大きさは少し譲る結果となったが、日本サッカー界に38歳が偉大な記録を打ち立てた日でもある。

 G大阪の遠藤保仁(えんどう・やすひと)は湘南戦に出場。J1通算600試合出場と、同じ歴代1位の名古屋GK・楢崎正剛(40、631試合)に次ぎ、フィールドプレーヤーとしては初の大台を記録した。3位の中澤佑二592試合、続く阿部勇樹561と現役も後を追い、ベテラン勢にも大きな励みとなる偉業となった。

ベテラン選手が自らの健康寿命を管理できる手本に

ACL・済州戦の前半、先制点を奪われ肩を落とす遠藤(中央)らガンバ大阪の選手たち=2017年3月1日、吹田スタジアム
 桜島出身のMFは、1998年、日本が初めてW杯に出場を果たしたフランス大会の年に横浜フリューゲルスに鹿児島実業(95年に高校選手権優勝)から加入、クラブが消滅した後は京都、2002年からガンバ大阪と20年を3クラブでプレーし積み重ねた金字塔だ。

 同時に、日本代表としても152試合と歴代最多出場を記録しており、これは、14年のブラジルW杯の出場選手中最多だった。また、ドイツW杯を目指したジーコ監督に初招集されて以来、他国の選手と比較しても11年と短い期間でこれだけの出場を叶えたスピードも遠藤の出場記録の特徴だ。

 キャリアを振り返ると、特筆すべきはケガで長期離脱をした時期がない点だろう。ケガではなく、ウイルス性の感染で06、08年とそれぞれ1カ月の離脱をしたのみで選手生命を脅かすようなケガがない。

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