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オイルダンパー

 建物用のオイルダンパーは、1mを超える大きさの重量物である。製造本数は年間に1000本程度である。これに対し自動車用は小型で、年間2千万本も製造される。このため、自動化した生産ラインで作られ、性能のばらつきも小さく、製造後の調整なども不要である。性能確認試験は製造者に加えメーカーも行っている。また、性能が悪ければユーザーに乗り心地で分かってしまう。これに対し、オイルダンパーは一日4本程度しか作らない手作りのようなものである。重量物なので部品移動にクレーンなどが必要となる。製品ばらつきも生じやすいので、調整も必要になる。建設現場で性能確認試験をすることは無く、大地震が起きるまで問題は分からない。

 積層ゴムやオイルダンパーは、高精度の製品を大量生産する自動車部品メーカーが作っている。土という自然材料の上に、水とセメントと砂利からできたコンクリートで作っている建築とは異なる。一品生産の建築物についてどの程度学んでいたのか疑問に残る。

 土木・建築の精度は機械の精度とは大きく違う。不確実な自然現象である地震を扱う耐震設計では、様々な幅や余裕を考える。10%とか15%という精度は、土やコンクリートの精度とは異なる。

免震装置の認定と免震建物の設計

 免震装置(法的には免震材料と言う)は、建築基準法に基づいて、国土交通大臣が指定した指定性能評価機関が大臣に代わって性能評価を行い、大臣が認定する。装置の特性などについて、装置メーカーが提出した実験データなどに基づき審査をし、その妥当性を判断すると共に、材料の製品ばらつきや、温度による特性変化、経年的な変化などについて許容値を定める。装置の評価や構造設計の評価には免震装置や免震設計に詳しい学識経験者が当たるが、評価機関の増加や、経験豊富な学識経験者の減少と高齢化、現役の学識経験者の多忙さなどの問題を抱えている。

 免震建物の設計には、時刻歴応答解析が使われることが多い。建物の応答は、 ・・・ログインして読む
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筆者

福和伸夫

福和伸夫(ふくわ・のぶお) 名古屋大学減災連携研究センター長・教授

1957年に名古屋に生まれ、81年に名古屋大学大学院を修了した後、10年間、民間建設会社にて耐震研究に従事、その後、名古屋大学に異動し、工学部助教授、同先端技術共同研究センター教授、環境学研究科教授を経て、2012年より現職。建築耐震工学や地震工学に関する教育・研究の傍ら、減災活動を実践している。とくに、南海トラフ地震などの巨大災害の軽減のため、地域の産・官・学・民がホンキになり、その総力を結集することで災害を克服するよう、減災連携研究センターの設立、減災館の建設、あいち・なごや強靭化共創センターの創設などに力を注いでいる。

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