2018年11月22日
「ジェーニャさん、サンキュウ!」、そう言った後、「ジェーニャさん、ソーリー」と付け足し、悔し涙をこらえるかのようにうつむいた。
11月17日、モスクワで行われたGP(グランプリ)シリーズ・ロステルコム杯(ロシア杯)の男子フリー。演技を終えてキス&クライに座り、スコアが出るのを待っていた羽生結弦。
「ジェーニャ」とは、彼が敬愛するエフゲニー・プルシェンコの愛称だ。今シーズンのフリー「Origin」は、プルシェンコが2003/2004年にフリーで滑った「ニジンスキーに捧ぐ」で使用されていた音楽。羽生にとって長い間憧れだったプルシェンコへのトリビュートとして作られたプログラムである。
羽生が「ソーリー」と言ったのは、彼がこの大会でベストな滑りを見せられなかったためだろう。
転倒してからしばらく何かを考える様子でゆっくりリンクを何周かした後、観客にあいさつをして氷上を去った。このときすでに、本番のジャンプの構成をどう変えるかほぼ決めていたのだという。
ちょうど1年前のNHK杯の公式練習中に傷めた靭帯とほぼ同じ場所だった。どの動き、どのジャンプがもっとも負担になるかは本人がよくわかっていただろう。
「自分でも悔しいとすごく思うのは、去年のNHK杯以降、弱かった右足首がさらに緩くなってしまっているということ。ほんのちょっとの衝撃でも、すぐに大きなけがになってしまうことは本当に悔しい」
会見でそう語った羽生だった。
医師にはフリーに出場して滑れば
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