忘れ得ぬアジアカップでのPK戦のセーブ、セカンドキャリアで世界を止めるGK育成を
2018年11月26日
43歳の川口能活(J3相模原)の引退会見が11月14日、相模原市役所で行われた。清水商業(現在清水桜ケ丘高校)で全国高校選手権優勝キーパーとなり、プロとして横浜マリノスに加入。当時は、日本代表No.1GKとしてマリノスで不動のポジションを守っていた松永成立(56、現在横浜Mキーパーコーチ)から正位置を引き継ぎ、日本昨夏の隆盛とともに五輪代表、日本代表、時代を駆け抜けたGKのキャリアは長く、しかも濃密で、記者たちの「ヨシカツ」への思いがいかに深いかを示すように、130人が集まった。
「完全燃焼したか、といえば、まだ余力もあります」
ついに迎えた引退会見だったが、清々しく、研ぎ澄まされた表情で言った。対戦相手と、シュートと、困難な状況と戦い続けた豊潤なキャリアを象徴しているように映る。
「(日本のサッカーに)違う形で貢献したいという思いが強くなって……引退する覚悟を決めました」
引退を決めたのではなく、引退する「覚悟」を決めたとの表現にサッカーへの愛情がにじむ。今後は、GKを育成する指導者へと踏み出す。余力は、セカンドキャリアのためのエネルギーに変わるのだろう。会見の最後、報道陣に対し直立不動で、「現役を通して、今日が最高にうれしい日です」と声を詰まらせた。関係者からの止まない拍手を背に、Jリーグ(J1、J2、J3)通算538試合出場、日本代表116試合、4度のW杯出場を果たしたGKは部屋を後にした。
「じゃんけんが弱い」
「足が遅い」
「太っている」
そんな理由からGKになった選手が多かった時代から、川口は「GKになるべくしてなる」そういうGK像を築きあげた。
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