小野登志郎(おの・としろう) ノンフィクションライター
1976年、福岡県生まれ。早大中退後、フリーのライターとして執筆活動を始める。在日中国人や暴力団、犯罪などについて取材し、月刊誌や週刊誌に記事を掲載している。著書に『龍宮城 歌舞伎町マフィア最新ファイル』『ドリーム・キャンパス』『アウトロー刑事の人に言えないテクニック』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
産業界が強く望む安価で単純な労働力、受け入れ拡大は天下の愚策
報道されている通り、我が国でも、いわゆる外国人労働者、「移民問題」が脚光を浴び、先鋭化されてきています。
というより、その際限のない拡大化と、そこで必然的に生まれる闇の深さが、どんどんと濃くなっていき、その全貌をつかむのは不可能になってきています。
外国人労働者の闇とは、いうまでもなく、法のグレーゾーン、ブラックゾーンに入ってしまった外国人労働者や、移民、その周辺者のことを指します。
こういった移民問題の闇については、2000年代初頭までは、その全貌の一端を知るのは、ヤクザ、でした。日本のヤクザが、もろもろの理由から闇社会に流入する移民たちを拾い、使い、利用してきたからです。
そのヤクザから、ちびちびと日本の警察は不良化した移民たちの情報をもらい、その闇の氷山の一角を取り締まってきたのです。
しかし、周知のとおり、ヤクザは暴対法、暴排条例によって、日本社会からパージされました。今や、絶滅危惧種、社会の必要悪ですらなくなってしまいました。
在日の移民社会は今もう既に、中国、韓国だけでなく、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなどなど、そして、果ては中東、アフリカ諸国まで広がっています。
街でよく目にするキャッチをしているアフリカ系の人間たちは、街を取り仕切っているとされる日本のヤクザに、ショバ代を払っていません。日本のヤクザとアフリカ系グループは、お互い縁もゆかりもなく独立して、存在しています。
アフリカ系グループの中に潜入して、その闇の一端でも知っているというジャーナリストを、わたしは寡聞にして知りません。刑事でもいないのではないかと思います。警視庁のある刑事に聞くと「外国人犯罪の担当部署で、中国や韓国はまだしも、アフリカ系はもとより、他の国の外国人犯罪グループの担当部署、刑事は存在しない」とのことでした。
今、日本の警察官で、そしてヤクザで、闇社会に存在する不法移民、外国人犯罪の全貌を知っている、と答える者はいないでしょう。