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「生煮え」の部分が多すぎる入管法改正案

一時的な「労働力の補充」より、共に生きる社会の構築を

田中宝紀 NPO法人青少年自立援助センター  定住外国人子弟支援事業部・事業責任者

技能実習制度の延長策であってはならない

 政府は、特定技能1号および2号はあくまでもこれまでの外国人就労受け入れの機会を拡大したもの、との立場ですが、一方で平成31年度からの5年間で受け入れを見込む最大約34万人5千人の内、約45%は技能実習生からの移行を想定していることも明らかとなり、技能実習生制度の延長策であるとの誹(そし)りを免れません。

 すでに多くの方がご存じである通り、技能実習制度は「現代の奴隷制度」とも揶揄され、本来の建前であった「開発途上国への技術移転を目的とした国際協力」はすでに崩れ落ちた状態にあります。安価な労働力の供給源として長時間労働、残業代不払い、不当な搾取や暴力など非人道的な待遇の実態とそれに耐えかねた失踪者の数の多さは、連日のメディアの報道によって注目を集めているところです。

 昨年法務省が調査を行った際には約7割の実習生受け入れ機関において何らかの法令違反があることがわかっています。管理監督の仕組みが行き届かず、人権を無視した労働環境が横行するこの実態が「特定技能」に引き継がれていけば、さらなる問題の温床となり、日本の国際的な信用にも影響を及ぼしかねません。しかし、現時点では技能実習制度で生じた問題と同様の問題をどのように防止するのか、政府はいわゆる「骨太の方針2018」において、「対策を講じる」としているものの、その具体的な方策は省令等にゆだねられている不透明な状況の中、実質何も改善されないのではないかといった疑念を拭い去ることはできません。

 また、技能実習生が3年間の技能実習を終え、そのまま特定技能1号へ移行した場合にはいずれも家族の帯同は認められない資格ですから、約8年間もの間、家族と共に暮らすことができないという事態が発生します。技能実習生や外国人人材には当然のことながら「働き盛りの若者」が多く含まれ、

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筆者

田中宝紀

田中宝紀(たなか・いき) NPO法人青少年自立援助センター  定住外国人子弟支援事業部・事業責任者

1979年東京都生まれ。16才で単身フィリピンのハイスクールに留学。 フィリピンの子ども支援NGOを経て、2010年より現職。「多様性が豊かさとなる未来」を目指して、海外にルーツを持つ子どもたちの専門的日本語教育を支援する『YSCグローバル・スクール』を運営する他、日本語を母語としない若者の自立就労支援に取り組む。 現在までに22カ国、500名を超える子ども・若者を支援。日本語や文化の壁、いじめ、貧困などこうした子どもや若者が直面する課題を社会化するために、積極的な情報発信を行っている。

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