偏りなく伝えようと両論併記にこだわる印象、一つの問題をより掘り下げて
2019年01月07日
目加田説子さん 中央大学教授(フジテレビの元記者・ディレクター)
――ふだん、どんなテレビの接し方をしていますか。
――これまでの生活経験の関わりが大きいのでしょうか。
「メーカーの会社員だった父の転勤で9歳から14歳までアルゼンチンに暮らしたことでサッカー好きになりました。アルゼンチンにいたとき、亡命先から帰国し大統領になったペロン氏が亡くなって妻のイザベル氏が世界初の女性大統領に就任したり、隣国チリでアジェンデ政権がピノチェト将軍のクーデターで倒れたりしました。現地では友人が亡命することもあり、子ども心に政治が変わると生活が変わることを実感しました。アルゼンチンのあと3年間、カナダに住みました」
――海外での生活がその後の進路に影響を与えたのでしょうか。
「大学卒業後に進んだ米ジョージタウン大の大学院では、核軍縮や安全保障を専攻しながら国連軍縮局でインターンをしました。当時のレーガン政権時代に教育費の大幅カットで奨学金が削減され、帰国することになりました。テレビ局に就職したのは、姉がNHKにいたこともあり身近に感じ、おもしろそうという動機からでした。報道センターで政治部や外信部で記者をしたほか、木村太郎さんが出演する月1回の国際報道番組のディレクターを務めました。世界各地を取材する忙しい日々だったのですが、アウトプットするばかりで自分が空っぽになるのではと感じ、もう一度インプットしたいと辞めました」
――当時の報道番組とその後を比較して感じることは。
「テレビ朝日『ニュースステーション』の久米宏さん、TBS『NEWS23』の筑紫哲也さんという実力のあるキャスターが当事者を番組に招いて直接聞くというスタイルが、わかりやすく身近に感じられました。ライブでの生き生きした表情を伝えることで加工されていない言葉を引き出し、視聴者としてドキドキした感覚で見ていました。2人のキャスターは存在感があり、ゲストと対峙するときに迫力があった気がします。筑紫さんの『多事争論』からは問題のとらえ方や切り口、考えるヒントを教えられました。
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