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紀平梨花がGPファイナルへ。その強さの理由とは

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

紀平梨花拡大グランプリシリーズ2連勝、衝撃的なシニアデビューを果たした紀平梨花

 なんとドラマチックなシニアGP(グランプリ)シリーズデビューだったことだろう。

 11月23日からグルノーブル(フランス)で開催されていたフランス杯で、16歳の紀平梨花は2位から逆転優勝を果たした。

 この試合の2週間前には、広島で開催されたNHK杯に初挑戦して、SP5位からやはり逆転優勝した紀平。シニアGPデビュー戦で優勝をかざったのは、彼女が日本人選手として初めてという快挙だった。NHK杯とフランス杯の2連勝で、バンクーバー(カナダ)で開催されるGPファイナル行きの切符を手にした。

 昨シーズン(2017―18)は全日本ジュニアで優勝し、全日本選手権でも3位に入賞した紀平は、もちろん期待の新人ではあった。でもどれほど才能が注目されていたジュニア選手でも、シニアの戦いになるとやはり別な勝負になるのが普通だ。観客数、リンク際に並ぶカメラマンの数など大会の雰囲気に圧倒されてしまうことも珍しくない。

 だが紀平には、それほど影響はなかったようだ。

 「圧倒されかけていたんですけれど、そういう気持ちも自分で分析して、これではだめだと思うこともできた。全日本選手権とか世界ジュニアなど大きな大会を経てきたので、NHK杯に生かせたと思います」。フランス杯を終え、GP2試合を振り返って紀平はそう語った。

「トリプルアクセル」で新たな記録を作った紀平

 紀平梨花といえば、いまやトリプルアクセルの代名詞のように報道されている。

トップ6人が集うグランプリファイナルでもひょっとすると……拡大GP(グランプリ)ファイナルでも大いに期待できそうだ
 2016年秋、ジュニアGP大会で女子として初めてアクセルを含む6種類の3回転ジャンプを合計8回、クリーンに決めた。当時はまだ14歳で、トリプルアクセルを国際大会で成功させた女子として史上7人目にして最年少。3アクセル+3トウループを試合で決めたのも、世界初だった。

 だがフランス杯では、その得意だった3アクセルがついぞ一度も決まらなかった。

 SPではタイミングが合わずに、アクセルがパンクして1回転半になってしまった。

 「明日の朝の練習で、しっかり確認します」と語っていた紀平。

 彼女は「確認」という言葉をよく使う。氷の状態はもちろんのこと、会場の本番での照明の明るさ、跳ぶ前に目に入るものなど、全てがジャンプに影響を与えるのだという。本番でしっかり成功させるためには、それらの全てを「確認」しておくことが重要なのだ。

 そのフリー当日の朝の公式練習では、紀平は絶好調だった。あまりにも簡単そうに3アクセルを決めるので、関係者から「かなわないな」というように好意的な笑い声がもれてきたほどである。

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筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書に、『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』、『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

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