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パワハラ定義の不明確さで体操の疑惑は認定されず

3カ月余り調査した第三者委員会は会見に出席せず協会専務理事が代弁した違和感

増島みどり スポーツライター

拡大インタビューに応じる塚原光男(右)、千恵子夫妻=2018年9月9日、東京都世田谷区の朝日生命体操クラブ
 リオデジャネイロ五輪の体操女子代表・宮川紗江(19=高須クリニック)が、塚原光男副会長(70)、塚原千恵子強化本部長(71)から、「権力を使った暴力を受けた」と記者会見で「告発」した発言内容について、10日、計25人に対してヒアリングをするなど調査を続けていた第三者委員会(委員長:岩井重一・元日弁連副会長)の報告が発表された。

 宮川の会見が行われたのは8月29日で、ここまでほぼ3カ月を要する重厚な調査が明らかになるはずが第三者委員会は不在。さらに「18歳は、嘘はつかない」と、当時、宮川の立場を慮って第三者委員会立ち上げをいち早くメディアに発表した具志堅幸司(62)副会長も、協会の最高責任者であるはずの二木英徳(ふたぎ・ひでのり、81)会長も体調不良を理由に姿を見せず、山本宣史専務理事1人が説明するだけだった。

 第三者委員会の調査結果は主に3点に集約される。

 1 宮川が8月に「(塚原氏に)自分と速見(佑斗、コーチ資格の無期限停止中)コーチを引き離そうとされた」と主張した件については「不当に引き離そうとした行為は認められない」と判定。

 2 代表合宿期間中に(7月15日)行われた塚原夫妻と宮川との面談で宮川が受けたとしたパワハラについても「悪性度の高い否定的な評価に値する行為とまでは客観的に評価できない」と、認定しなかった。これにより、職務停止処分となっていた塚原夫妻の復帰が可能となった。

 3 日本体操協会に対して①常務理事会の活性化②強化本部の透明化と活性化③財政基盤の確立④コンプライアンス体制の確立⑤強化本部長の職務と権限の明確化⑥国際大会への派遣選手の選考過程の透明化⑦協会と各所属団体とのコミュニケーションの活性化と7つもの提言がされた。

 第三者委員会は、体操協会への報告を第一義としメディアへの会見を行わず報告書を協会ホームページにアップはした。レスリング、ウエイトリフティング(倫理委員会が調査を発表)、五輪競技ではないが日大のアメリカンフットボール部で起きた危険タックル問題、相撲協会の暴力事件など独立した調査機関として設置された第三者委員会が独自に結果を公表したなか、体操だけが「時間的なこと」と調査結果を専務理事が代弁した形には大きな違和感が残る。 ・・・ログインして読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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