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ゴーン事件 日本の「司法の独立」を世界が注視

五十嵐二葉 弁護士

 

拡大日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が勾留されている東京拘置所=2018年12月21日

ゴーン氏無罪だったら検察はどうする

 「(ゴーン氏が)もし有罪にならなかったらどうなるんですか?」女性アナウンサーが訊くとコメンテーターの若狭勝・元東京地検特捜部副部長が答えた。「特捜部は解体、検察上層部は辞職を余儀なくされるでしょうね」。

 この直前のやりとりでは、若狭氏は「(検察は)ゴーン氏が釈放されて記者会見されると困るからではないか。そのために1月に予定していた逮捕を前倒しした」と答えていた。東京地裁が2度目の勾留の延長を却下したことで「保釈される」と話題騒然となった日産自動車前会長のカルロス・ゴーン氏を、東京地検特捜部が特別背任容疑で「3度目の逮捕」をして、保釈を阻止した12月21日夜の番組だ(テレビ東京)。

 私は驚嘆した。テレビのニュース・ショーで、刑事専門家としてコメンテーターに呼ばれる人は、逮捕されたり、起訴されたりした人が、どんなに悪いことをしたのかを警察・検察の公式発表を超えた意見も交えて解説するのが普通で、逮捕や起訴をした警察・検察の思惑や、その成り行きを第三者的な視点から論評するのを聞いたのは初めてだ。

 通常日刊紙や、テレビ報道局の番組も、国際的著名人ゴーン氏の日本での逮捕・勾留の報道に沸き立った当初は、これまでのまま警察・検察の広報的な表現で始まった。

 最初の逮捕報道ではどのメディアも「2011年3月期~15年3月期のゴーン容疑者の役員報酬が99億9800万円だったのに計約49億8700万円と虚偽の記載をした」と、99億9800万円は現実に受け取っていたという捜査側の事件の見方をそのままに、いわゆる「垂れ流し」報道をしていた。

 しかし関係国の受け止め方の特派員報告や、国際的な批判の論調を紹介したり、それに付随して日本の刑事手続きと比較したりすることなどが必要になる中で、わずかずつながら第三者的な観点が入るようになってきて、呼称も「容疑者」より「前会長」の方が多くなる傾向にあった。

 そこに「『日本でも珍しい』海外も関心 ゴーン前会長の勾留延長却下」(12月21日付朝日新聞の見出し)が起こった。

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筆者

五十嵐二葉

五十嵐二葉(いがらし・ふたば) 弁護士

1932年生まれ。68年弁護士登録。山梨学院大学大学院法務研究科専任教授などを歴任。著書に「刑事訴訟法を実践する」など。