先駆者の手塚治虫と白土三平と水木しげる、続いたつげ義春、諸星大二郎、大友克洋ら
2019年01月16日
2019年1月29日、『教養としての現代漫画』(日本文芸社)を刊行する。漫画がこれだけ出版され、読まれていても、その文化としての明確な位置付けをし、また、その総体についての見取り図を示すような本、そのような意味でのガイドブックはあまり書かれていない。
漫画に興味はあるが何を読んだらよいかわからない人々、自分がリアルタイムで読んできた以外の漫画家の作品をも読んでみたいという人々、また、漫画を包括する一つのトータルな見方をもちたいと思う人々にとっての、統一的な視点からする本格的なガイドブックということだ。
そこで、『リベラルアーツの学び方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)のいわば「各論」の最初のものという形で、日本の現代漫画の見取り図と物語を描いたのが本書である。
僕は、経験論、広い意味でのプラグマティズムの視点に立ち、自然科学から社会・人文科学、思想、批評、ノンフィクション、さらには各種の芸術までをも一つの大きな横断帯、教養(リベラルアーツ)としてとらえる。
芸術という用語には日本ではまだ日常語になりきらないこなれの悪さが残っているが、僕は、いわゆる狭義の芸術のみならず、各種のポピュラーアートをも芸術に含めて考える。そして、カテゴリーによる区別よりも、それぞれの質とその普遍性を問題にする。
だから、この本で僕が取り上げた43人の漫画家についても、作品の質を中心としながら、漫画でしかできない表現を行っているかを第一の基準とし、ほかの芸術あるいは表現方法に匹敵するレヴェルの普遍性を達成しえているかを第二の基準として、作品本位で選んだ。
以上が、第1部「現代漫画を楽しみながら、現代日本と世界を感じ、かつ考える」までのセクションの骨子となる。
次の第2部「現代漫画 3人の先駆者たち」では、手塚治虫、白土三平、水木しげるの3人を、つげ義春以降、1960年代半ば以降の現代漫画の先駆者として選び、彼らの作品がどのように先駆的であり、また、その後の漫画に影響を与えたかを論じている。
第2部以降では、まず、その漫画家の本質をついた作家論を行い、次いで、作品案内の部分で、その代表作について10から1までの数字評価をも加えながら簡潔に解説、評価している。この数字評価のおおよその感覚は、3から5は一読に値するもの、6、7は秀作、8は準傑作、9、10は傑作というところだ。つまり、「普通なら7から10くらいに当たるところを3から10に広げて表示している」ということだ。
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