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現代漫画の見取り図(下)

無垢、エゴに対する漫画家のこだわりとアンビヴァレンス

瀬木比呂志 明治大法科大学院教授

 そして、書物後半の第4部では、六つの章に分けて31人の多様な漫画家たちについて論じている。

 第4部では漫画家の数が多くなる一方、1人あたりの記述量は紙数の関係上限定される(第4部では記述の量は漫画家ごとにかなり異なっている)から、31人をそのまま羅列したのでは単調になりやすい。

 そこで、取り上げる主要作品等を参照しながら、①悪、暴力、猟奇、②疎外、孤独、逸脱、周縁、③家族、女性、ジェンダー、④サブカルチャー、オタク、新世代、⑤幸福、ほほえみ、⑥現代社会の諸側面、というキーワード群ごとに、31人を、5人ずつ六つの章に割り振ってみた(③のみ6人)。

 個々の漫画家の作品につき、以上のキーワードの複数に関連する例はもちろん一定程度あるが、とりあえず、読みやすさの観点からその作品群の特色ごとに六つのカテゴリーのどれかに含める形で整理してみたということである。

 いずれにせよ、この分類はあくまで一応のものなので、それによって漫画家や作品のイメージを過剰に限定することはしないでいただきたい。

 個々の漫画家と僕の考えるその代表的作品の一部は以下のとおりである。

第1章 悪、暴力、猟奇

 花輪和一『朱雀門』、『刑務所の中』

 高橋葉介『真琴♡グッドバイ』、『夢幻紳士 逢魔篇』

 岩明均『寄生獣』、『雪の峠・剣の舞』

 冨樫義博『HUNTER×HUNTER』

 小畑健『DEATH NOTE』(大場つぐみ原作)

第2章 疎外、孤独、逸脱、周縁

 勝又進『ガロ』時代の短編群

 安達哲『さくらの唄』、『バカ姉弟(きょうだい)』

 三部けい『カミヤドリ』、『神宿りのナギ』

 黒田硫黄『大王』、『大日本天狗党絵詞(えことば)』

 古谷実『ヒミズ』、『ゲレクシス』 ・・・ログインして読む
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筆者

瀬木比呂志

瀬木比呂志(せぎ・ひろし) 明治大法科大学院教授

1954年名古屋市生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。裁判官として東京地裁、最高裁などに勤務、アメリカ留学。並行して研究、執筆や学会報告を行う。2012年から現職。専攻は民事訴訟法。著書に『絶望の裁判所』『リベラルアーツの学び方』『民事訴訟の本質と諸相』など多数。15年、著書『ニッポンの裁判』で第2回城山三郎賞を受賞。

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