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取次による書籍出荷価格の引き下げ交渉が難航

苦境の取次が出版社に取引条件の変更を求めるが厳しい反応、運賃協力金はアップ

川本裕司 朝日新聞記者

青山ブックセンター六本木店の閉店日に訪れた客ら=2018年6月25日、東京都港区
 街中から減る書店に象徴される出版業界の不振は、出版社と書店をつなぐ取次も直撃している。本業部門で赤字に転落した取次大手の日本出版販売(日販)とトーハンが、出版社に対し書籍の出荷価格の引き下げを要請する交渉を始めた。だが、改善を求められた出版社も経営環境は厳しく、交渉は難航している。昨年11月には日販とトーハンが物流の協業の検討に初めて踏み切るなど差し迫った状況のなか、打開の道はあるのか。

 書籍の取引については、出版社が定価の70%前後で取次に出荷、取次で8%、書店で22~23%をそれぞれ取り分とする基本形態が定着していた。ただ、出版社と取次、書店の取引条件は、出版社の歴史や規模、書店の販売力によって異なり、個別に決められている。取次の取り分は減る傾向にあるといわれ、ここ数年で中堅の取次の経営破綻も相次いだ。ネット通販大手のアマゾンジャパンは1月31日、出版社から書籍を直接購入する「買い切り」方式を年内に試験的に始めることを発表するなど、書籍流通にはさまざまな動きが出ている。

 昨年度決算で取次業が初めて赤字となった日販は、書籍の取引条件を各出版社と見直す方針を決めた。

 日販が3月、出版社に示した「書籍取引条件の見直しのお願い」では、「出版販売金額は2016年には1995年比で56%まで縮小。流通コストの抑制に努めてきましたが、弊社では書籍部門は過去20年来、赤字構造から脱却できておりません」と窮状を訴え、書籍の出荷価格引き下げの検討を依頼した。関係者によると、引き下げ幅は1%以下が多いといわれるが、3%の例もあるという。

 日販の安西浩和専務は「書籍の取次は年間30億円の赤字だった。雑誌の取次の利益ではカバーできなくなり、構造的な面に切り込んだ。対象の出版社は赤字幅の大きい当初の100社から増やし交渉している。見直しは簡単なこととは思っていないが、この状態で2、3年続けることはできない」と話す。

 9月末までの交渉の進展について、日販の中西淳一執行役員・仕入部長は「いい反応は半分以下」と難航を認めている。ただ、交渉を重ねることで協力する出版社が目立ってきているという。

 同時に、雑誌の物流コスト上昇に伴う「運賃協力金」を仕入れ金額の0.55%から0.85%への引き上げ要請を始めたところ、出版社側はおおむね了承する姿勢という。

 また、取次業で昨年度は5年ぶりの赤字となったトーハンも書籍の取引条件の見直しを出版社に求めているが、やはり厳しい反応が多いという。運賃協力金を引き上げる交渉については、10月末現在で300社以上と進め、約70%と妥結した。

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