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商店主らが知恵と技を伝授する「まちゼミ」(上)

愛知県岡崎市で生まれて16年、無料講座で全国370地域の2万店舗に広がる

大矢雅弘 朝日新聞天草支局長

 商店街の商店主らが講師となって、プロならではの知恵や技を無料で伝授する「得する街のゼミナール」(略して「まちゼミ」)が今年度末には全国の約370地域、参加事業所は約2万店舗に届く見通しだ。人口減少で環境が厳しい中、近江商人が説いた「売り手よし、買い手よし、世間よし」の精神を事業化したというまちゼミは個々の店に繁盛を、そして地域に活性化をもたらす手法として期待を集め、着実に広がり続けている。

 熊本県天草市では、2月2日から27日まで、22店舗が参加して初めての第1回天草まちゼミを開催。「まなぶ」「たべる」「きれい」「けんこう」「つくる」の五つの分野で計39講座を用意する。靴店では「大切に履きたい靴のお手入れ術」と題した講座があり、ふだん履いている靴やしばらく眠っている靴の手入れ法を指導する。このほか、各店舗では「簡単!誰でもできる網戸張り替え講座」「脱!自己流 あなたに合った眉の描き方レッスン」といった講座もある。

拡大「まちゼミ」開催に向けた研修会で、松井洋一郎さん(左)の説明を聴く参加者ら=2018年9月、熊本県天草市
 まちゼミ発祥の地、愛知県岡崎市の「岡崎まちゼミの会」代表の松井洋一郎さん(50)は各商店のファンを作り、商店街の活性化につなげるというまちゼミの目的をはじめ、まちゼミの魅力と有効性を伝えながら、全国を行脚している。

 松井さんは、まちゼミの人気が高まり続けるわけを「三方よし」の取り組みだと説明する。まず買い手である受講者は、まちゼミでプロの裏技などを無料で手に入れる「買い手よし」。店にとっては新規顧客やファンづくりのきっかけにすることができるという「売り手よし」。こうして店が潤えば、商店街がにぎわい、地域が活気づくという「世間よし」というわけだ。

 松井さんによると、岡崎市では21世紀の初めごろまで、さまざまなイベントやお祭りなど、商店街を活性化させようという企画はたくさんあった。だが、 ・・・ログインして読む
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筆者

大矢雅弘

大矢雅弘(おおや・まさひろ) 朝日新聞天草支局長

1953年生まれ。長崎、那覇両支局、社会部員、那覇支局長、編集委員。その後、論説委員として沖縄問題や水俣病問題、川辺川ダム、原爆などを担当。2016年5月から現職。著書に『地球環境最前線』(共著)、『復帰世20年』(共著、のちに朝日文庫の『沖縄報告』に収録)など。

 

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