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ゴーン事件契機に「人質司法」を国際語にしよう

五十嵐二葉 弁護士

骨抜きにされたヘィビアス・コーパス「勾留理由開示」

 年明けのゴーン事件に関するニュースは、ゴーン氏が1月4日、日本の裁判所に勾留理由開示を求めたことで、国外でも大きな関心を呼んだと、報道された。

 この制度は、ヘィビアス・コーパス(habeas corpus:不当に人身の自由を奪われた人を裁判所が保護する制度)や、予備審問(捜査機関によって拘束された人を裁判所が審問して理由がなければ解放し、保釈も決める)の制度を、日本国憲法34条が予定して、刑事訴訟法に取り入れたものと日本の教科書でも解説されている。

 外国では、このどちらかの制度、あるいは両方が法律になって実務化されているので、外国のメディアは、ゴーン氏が釈放されるのではと注目しただろう。

 しかし閉廷後の報道は、ゴーン氏の法廷発言だけで、一部メディアが外国特派員の発言として「『ゴーン氏が拘置所で拘束され続ける状況は正義にかなうといえるのか』と疑問を呈した」と伝えられた(読売新聞1月9日付)くらいで、あとは「ゴーン前会長『無実強調』」といった彼の発言を大きく伝えるばかりだった。

 日本には、ヘィビアス・コーパスも、予備審問もない。「何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず」という憲法34条2文前段の保障は骨抜きにされて、 後段の「要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない」だけを、刑訴法に6カ条も使って(82~87条)「勾留理由開示」として実効性のない制度にした。

 刑訴法と同じ1948年に「人身保護法」(昭和二十三年法律第百九十九号)を立法してお茶を濁した形だが、これも実効性がないので、全く使われていない。

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筆者

五十嵐二葉

五十嵐二葉(いがらし・ふたば) 弁護士

1932年生まれ。68年弁護士登録。山梨学院大学大学院法務研究科専任教授などを歴任。著書に「刑事訴訟法を実践する」など。

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