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自らの意志で白血病を公表した池江選手

水泳連盟や広告代理店など周囲にはさまざまな意見があった

増島みどり スポーツライター

拡大ジャカルタ・アジア大会女子400mメドレーリレーで力泳をみせる池江璃花子=2018年8月23日、ジャカルタ
 女子競泳のエース、池江璃花子(18=ルネサンス)が2月12日、ツイッターで白血病を明かし、午後には日本水泳連盟が記者会見を行った。2月8日に体調不良で合宿先のオーストラリア・ゴールドコーストから先に帰国し、わずか中3日での早い公表に至った背景には、何よりも池江の、これから始まる闘病に対する強い思いがあったからだと関係者は話す。

 日本水泳連盟内でも、彼女をマネージメントする広告代理店でも、診断を受けた後、対応についての意見は様々だったようだ。特に、SNSで発信する反響を考え、「今は体調が優先。詳細が判明してからいいのではないか」といった声や、過去あまり事例のない、トップアスリートの病気というプライバシー公表のリスクを不安視する声ももちろんあった。

 池江はこうした配慮に対して、「自分の病気について、噂をされたり、メディアに先に出るより、自分の言葉で今の状態をしっかり説明したい」(関係者)と話したという。ツイッターの文もいつも通り自分で書き上げて、入院先から公表をした。18歳のこうした行動に先導され、日本水連も「現状をお伝えし、一刻も早く専念に治療できる環境を与えたい」(上野広治副会長)と応じた格好だった。

 東京・渋谷の岸記念体育館で行われた日本水連の会見には海外メディアも出席し、また新聞社、ジャーナリストの中には医療専門家の姿もあった。上野副会長、指導する三木二郎コーチ、ルネサンスの吉田正昭社長ら4人が出席して行われた会見では、ゴールドコーストの病院で心電図、血液検査を行った結果、早急に帰国し再検査をする必要があると診断され、現時点では、白血病の診断以外、詳細はまだ分かっていないと明かされた。

 今年の日本選手権は欠場し、上野氏は「(選考に)何か特別措置といったものは考えていないし、(東京五輪選考の)スタートラインに立ってくれるものと信じている」と、回復を願った。

 白血病の衝撃と同時に、反響や注目を集めるのを覚悟し、それを受け止めて「絶対に戻ってきます」(2月13日のツイッター)と公表する様子に、トップアスリートとして社会に対しどう振る舞い、影響を良いものとできるかを常に考え、行動する、新しい時代のスポーツ選手、ヒーロー像 ・・・ログインして読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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