杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター
1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。
『絶対正義』で女優業が想定外の大好評、迷走女子アナは肌の露出でなぜ評価を変えたか
ドラマ『絶対正義』(フジテレビ系)に、アナウンサーの田中みな実が出演している。アナウンサーの女優進出では、去年、カトパンこと加藤綾子が『ブラックペアン』(TBS系)に治験コーディネーター役で出演したが、原稿を読み上げるような台詞回しで、視聴者から大ブーイングが起きた。ところが今回の田中みな実の女優業は好評だ。
「まず、田中みな実さんが演じる麗香は高校時代に中絶し、現在は不倫中という役柄。ぶりっこキャラでブレイクした田中さんにぴったりです。そして、初回からベッドシーンを演じたこと。この2点が勝因です。ようは汚れ役なわけで、普通ならば、女子アナにはやらせないでしょう。この仕事を引き受けさせたマネージメントは英断でしたね」(女性週刊誌編集者)
田中はこのところ、『an・an』(マガジンハウス)でセミヌードを披露したり、篠山紀信撮影の写真で豊満なバストを露出したりと、「脱ぎ」の仕事を増やしている。通常、アナウンサーが脱ぐのは、落ち目な印象を与えるが、田中の場合は肌を晒すことでタレントとしての好感度アップに繋がっている。ようは田中みな実は脱ぐことで、視聴者から許しを得たのだ。
さて、テレビに出て売れっ子になるのに必要な要素はなんなのだろうか。
テレビ番組制作会社のディレクターはいう。
「今、テレビの中で売れっ子になるには、“かわいそう”に見えることが必要なんです。例えば、マツコデラックスは巨漢の女装家、坂上忍は生い立ちが複雑、有吉弘行は落ち目の時期に貧困生活を送っていました。彼らはかわいそうに見えるから視聴者に嫌われないんです。反対に松本人志は最近炎上しやすいですよね。著名な東大教授が実名のツイッターアカウントで松本を“日本の恥”と罵っていました。なぜ、彼は反発されるのか。それはかわいそうな部分がないからです。アナウンサーも同じで、夏目三久が活躍できるのは、局アナ時代にコンドームを持った写真が週刊誌に掲載されたからです
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