母がくも膜下出血で倒れて気づいた「“障害”は環境や社会の中にある」ということ
2019年02月25日
「“もし自分だったら”と想像力を働かせて真剣に考えれば自ずと答えは導き出される」。ノーマライゼーションの父であるデンマークのバンク・ミケルセン氏の言葉である。バンク氏は世界で初めてノーマライゼーションという言葉が使われたデンマークの知的障害者福祉法(1959年法)の制定に尽力した人で、デンマークでは今から60年も前にどんな障害があっても当たり前の暮らしが送れるように“障害”となっている環境を変えるという理念が実行に移されていた。
このバンク氏の言葉に出会ったのは30年前のこと。高校3年の時に母がくも膜下出血で倒れ重度障害者になり、差別や偏見が根強い日本社会の中で障害と共に生きるという重い課題に直面していた中で偶然手にした1冊の本に中に書かれていた。福祉ジャーナリストの草分け的存在の大熊由紀子さんの「『寝たきり老人』のいる国いない国」という本だった。
“出来ないことではなく出来ること”を数え想像力を働かせながら母と暮らした日々は気づきと発見の連続だった。確かに言語障害と半身麻痺だった母のような身体障害、また知的障害や精神障害を抱える人にはそれぞれ日常生活の中で様々な生き辛さや困難があることは間違いない。ただ障害のあるなしに関わらず“出来ないこと”や“不得手”なことは必ずある。
だからこそ一人ひとりの得意なことを見つけ、伸ばし、活かしながら暮らしていけば良いと、18歳の私にも理解できた。
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