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女性蔑視発言連発、松本人志への批判が的外れな訳

地上波からなぜセクハラ発言が消えず、AV女優出演のネットTVにセクハラがないのか

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 コンビニから成人雑誌が消える。雑誌の棚の奥にあったポルノ雑誌の販売を、セブンイレブンやローソン、ファミリーマートが扱いを取りやめる。訪日外国人や女性客への配慮だという。このニュースを聞いて、私は正直複雑な気持ちになった。成人雑誌の編集者やデザイナーたちを思い浮かべ、彼女たちの生活はどうなるのかと思い、成人雑誌を読むのを楽しみにしているお年寄りがそれを買う場所が消えるのも気の毒だ。今まで許されていたものがどんどん排除され、結果、困窮する人たちが出てくる。

 さて、松本人志がたびたびセクハラ発言で炎上騒動を起こすのも、成人雑誌と似た構図だろう。彼は何十年も前から女性蔑視的なセクハラ芸を得意としてきたが、ここにきて批判はどんどん強まっている。しかし、一記者として、松本人志に非はないし、彼を責めるのは的外れだと思う。松本はセクハラ芸を披露するのが仕事なのだ。AV男優が監督の求めに応じて、女優を縛ったり、押し倒したりするのと同じだ。求めに応じて女性蔑視的な発言を芸として披露しているだけだ。そうやって、ギャランティをもらい、妻子を養っている。問題があるとしたら、それはテレビ制作の構造の中にある。

 このようなセクハラ表現への騒動はどうしたらなくせるのか。その答えを新興のネットTV番組をチェックすることで考えてみよう。

女芸人の司会者たちがAV女優をいじる

拡大『恵比寿マスカッツ』のメンバーとして活動していた麻美ゆま=2010年9月、所属事務所提供
 『恵比寿マスカッツ』をご存じだろうか。AV女優、グラビアアイドル、モデル等からなるアイドルグループだ。蒼井そらや麻美ゆま、吉沢明歩などの有名AV女優たちもかつて在籍した。AV女優が一般メディアで知名度を上げるきっかけになったグループでもある。

 ネットTVのAmebaTVが放送する『恵比寿マスカッツ 真夜中のワイドショー』は彼女たちの冠番組だ。

 「コンプライアンスなんて怖くない」と叫び、番組内では下ネタが満載で、地上波では放送できないような言葉が飛び交う。しかし、なにひとつセクハラ感が見事にない。

 なぜ「セクハラがないバラエティ」が成立しているかといえば、司会をオアシズの光浦靖子、大久保佳代子と森三中の黒沢かずこという女芸人3人がつとめているからだ。彼女たちが若い女性たちをいじり、番組を回している。そこに侵入者として安田大サーカスのクロちゃんが侵入し、恵比寿マスカッツのメンバーに攻撃を仕掛ける。しかし、メンバーとクロちゃんの関係に上下がないので、セクハラにはみえない。バラエティ番組としての理想型がみえる。

 「バラエティ番組がセクハラで炎上しない方法」の答えは実に簡単だった。司会者を女性タレントにすればいいのだ。

 しかし、『真夜中のワイドショー』で、女芸人が司会者なのは、視聴者への配慮ではないように思える。出演するAV女優たちへの気配りだろう。AV女優は常に人材が不足している職業なので、彼女たちは立場が強く、発言権がある。 ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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